巻頭言 創立100周年の年初にあたり

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Vol.100 No.1 (2017/1) 目次へ

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 明けましておめでとうございます.今年は電子情報通信学会創立100周年にあたり,9月15日には明治記念館で記念式典が予定されています.本会は現在約3万人の会員を擁する国内最大規模の学会の一つで,我が国の産業の基盤となる電子・情報・通信に関連する広範な技術領域並びに学問分野を包含しています.これまでに技術・学問の種を数多く創出しその後の発展を育み,現在のIT社会の構築を支えてきた本会の諸先輩並びに現会員の皆様の偉業の一部は,「電子情報通信学会マイルストーン」として記念式典にて紹介されますので是非御覧下さい.

 一方,近年の電子情報通信産業における急速なパラダイム変化,ICTの発展ゆえのグローバル競争の激化など学会を取り巻く環境は大きく変化しています.本会は一般社団法人で少数の事務局職員と多数のボランティアの方の活動により運営されています.これに対し,グローバル化が加速される中,特に北米の主要な学会は会社組織による運営が行われています.例えば昨年100周年を迎えたOSA(Optical Society of America)は,全世界で会員数2万人と会員数でこそ本会より少ないものの,本会の5倍のスタッフを擁しています.北米以外に249のStudent Chapterを持ち,正味財産は85億円を超えます.私が昨年General Chairを務めたOSAの基幹国際会議OFC 2016の純益は本会年会費の受取総額の2/3に達します.一方,国際会議のGeneral ChairsやProgram Committeeメンバーは会議の財務に関連する事項の決定権は全くありません.言うなれば,経営者と従業員(ボランティアで働く)の関係とも言えます.先日ある国際会議でOSAのCEO(Chief Executive Officer)(Presidentではありません)がOSAは世界の27万人のcustomerにサービスを提供している,と表現したのを聞いた研究者(OSAメンバー)が,我々はassociateではなくcustomerか,と言っていましたが,一口に学会と言っても運営に関しては全く異なっています.会社組織の運営は財務上の大きな利点をもたらすとともに,マネージメント側と,より自由な企画・活動を進めたい会員の間で意識の差による軋轢が生じることもあります.

 本会においても財務は重要な課題です.リーマンショック以降,より顕在化した会員数減少に歯止めを掛ける諸施策や財務改善に向けた取組みが強化され,組織の変更を含む改革も進めています.将来を担う学生員数も2016年度を底として減少傾向が止まり,また大会の講演件数・参加者数も増加の兆しが見えつつあります.とは言え,このままボランティア主体の運営が将来的に可能かどうかは今後の推移を見ながら議論していく余地があると思っています.グローバル化については,各ソサイエティの英文論文誌のeditor,associate editorの所属機関の国外の割合は20%弱とまだ低く,また大会での英語講演数の割合は全体の5~7%程度ですが,例えば会員数が同規模(約2万8,000人)の日本化学会の今春の年会のポスターを含む講演(総講演数5,300件)における英語講演の割合は,30%を超えるなど本会でも議論が必要です.

 本会が将来に向けて永続して世界をリードできる学会として発展し続けるためには,たゆみない変革と努力が必要です.グローバル化を促進する諸施策やグローバルな知の源泉としての役割の強化,産業界の人材の学会での更なる活躍を促す諸施策の充実が欠かせません.次の100年を見据え,絶えず進化する学会の構築に向けて会員の皆様と力を合わせて進んでいきたいと思っています.


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