記念特集 2-2-5 ソフトウェアインタプライズビジネスの展望

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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宇田川佳久 正員 東京工芸大学工学部コンピュータ応用学科

Yoshihisa UDAGAWA, Member (Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University, Atsugi-shi, 243-0297 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1053 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.は じ め に

 SWIM研専が解決すべきフレームワークと課題について,松本らは,ビジネス改革・実動化・検証のフェーズをシームレスに連携するための記述言語,方法論,自動化ツールの研究開発を指摘した(1).また,野地らは,システム構築方式とシステム利用方式に関し,2030年までの達成目標を示しつつ,今後のロードマップを示した(2).これらに基づき,本稿では,SWIM研専の主な研究成果と今後の研究の方向を展望する.

2.10年後の目標

 主要な研究テーマであるビジネスモデルの体系化と,このモデルから実動するシステムを効率的に開発するツール群の整備が,今後10年の目標である.要となるビジネスモデルの形式的記述については,プレーヤ,サービス,‘もの’と情報の流れ,資金の流れ,イベントを記述要素とする丸山の提案がある(3).文献(3)では,この記述法を数々の事例に適用し有効性を実証している.資金の流れを記述できることがこの記述法の特徴であり,このモデルを精緻なものにすることで,従来の‘もの’の生産,流通,販売に加え,決済を含めたモデル化とシミュレーションを目指す.

 クラウドコンピューティングは,グローバルな環境からアクセス可能であり,ビジネスモデルのシミュレーション及び実装方法として有望視されている.宮西は,データだけでなくプログラムの実行結果を含めたクラウド環境におけるセキュリティ管理方式について提案している(4).この提案に基づくミドルウェアの設計開発とツールとしての普及がインタプライズの実動に向けての鍵となる.

3.20年後の目標

 こうしたインタプライズが目指す情報通信技術を使った産業構造基盤は,ドイツのIndustrie4.0や日本のSociety 5.0をはじめとする各国の国家プロジェクトの中で,既にその変革の片鱗を見ることができる(5).一方で,今後の情報通信技術の進展によって,世界的な生産消費活動をシミュレートすることが可能になると考える.

 SWIM研究の20年後の目標は,産業構造基盤の構築に貢献できるフレームワークを提案し,その実現のための開発環境を提供することである.重要テーマとしては,部品レベルの製品モデル及び個人レベルの消費行動モデルから積み上げた精緻なビジネスモデルの確立と,インタプライズに蓄積された巨大ビジネスデータを使った精度の高いシミュレーションを実現することが挙げられる.換言すると,企業の利潤にとどまらず,グローバルな観点からの生産・輸送・販売設備の最適配置,CO2排出量などの環境への影響,働く者や消費者の幸福度などの観点からビジネスモデルを検証する“ビジネス世界丸ごとシミュレータ”の実現を目指している.

文     献

(1) 松本正雄,片岡信弘,新川芳行,“インタプライズ改革の基底―ひとつのビュー―,”信学技報,SWIM 2012-1, pp.1-8, May 2012.

(2) 野地 保,片岡信弘,堀米 明,黒瀬 晋,“ビジネスモデルを科学する,”信学技報,SWIM 2012-14, pp.39-42, Aug. 2012.

(3) 丸山文宏,“ビジネスモデルの記述に関する一考察,”信学技報,SWIM 2012-27, pp.21-24, Feb. 2013.

(4) 宮西洋太郎,“クラウドコンピューティングでの高度セキュリティ実現方式の提案―情報処理委託内容の秘匿方式―,”信学技報,SWIM 2010-18, pp.13-17, Nov. 2010.

(5) 小松昭英,“サイバースペース革命―ビジネスモデルの体系と構造―,”信学技報,SWIM 2016-20. pp.11-16, Feb. 2017.

(平成29年4月17日受付 平成29年6月2日最終受付)

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()()(がわ) (よろし)(ひさ) (正員)

 昭57東大大学院博士課程了(工博).同年三菱電機株式会社入社,以来,情報システム開発に従事.2010-04から,東京工芸大・工・コンピュータ応用・教授.


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