記念特集 2-2-16 PoTS映像学の黎明

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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斎藤英雄 正員:フェロー 慶應義塾大学理工学部情報工学科

舩冨卓哉 正員 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科情報科学専攻

森 尚平 正員 慶應義塾大学理工学部情報工学科

Hideo SAITO, Fellow, Shohei MORI, Member (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan), and Takuya FUNATOMI, Member (Graduate School of Information Science, Nara Institute of Science and Technology, Ikoma-shi, 630-0192 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1074 2017年10月

©電子情報通信学会2017

 1990年頃から始まった映像メディアのディジタル化の波は,四半世紀にわたる一大技術革新を引き起こした.小形軽量カメラや各種センサが公共場所や移動体に配され,その間の映像通信も可能となった.一方,情報技術全般で見れば,いわゆる「IoT」「ビックデータ」が人類の生活を変えようとしている.膨大な画像・映像データを効率良く処理する技術の整備により,更なる革新が起きるだろう.

 我々は,映像メディア技術の新たなイノベーション創出を目指し,多数のカメラやセンサで捉えた映像データを,時空間を飛び交う光線の集合として扱い,光線の物理的・空間的・時間的性質を考慮した計算処理により,新たな自由視点映像や自由焦点映像を再構成する技術体系「汎光線時空間(PoTS)映像学」を提唱し,その実現に向けた研究開発活動のために,PoTS時限研専を2016年度からスタートした.PoTSとは「Plen-optic Time Space」の略であり,日本語ではこれを「汎光線時空間」と呼ぶ.

 その源流は,1990年代の二つの着想であり,一つは,東大・原島博教授の研究室が発案した「光線空間法」,他方は,米国カーネギーメロン大で金出武雄教授が提唱した「Virtualized Reality」である.その後,この二つの着想は,数々の後継研究を生み,映像の入出力ハードウェアの進歩を伴いながら,活発に研究されてきた.

 一方で,ハードウェアの進歩も物理的限界が近付いてきており,新たなブレイクスルーが必要な段階に来ているという考えもあった.これに対し,2000年代にComputational photographyという考え方が提唱され,情報技術との融合によって,光学素子や電子デバイスの技術による限界を超えた高度なイメージングに取り組む分野が生まれている.ACM SIGGRAPHでのセッションやInternational Conference on Computational Photography(ICCP)など,世界でも徐々に存在感を高めており,今後もますます発展していくものと考えられる.

 国内においては,長年にわたる発展の過程で,映像メディア分野関連の複数の異なる研究会等に分散しながら議論・検討されてきた.本PoTS映像学時限研専では,それらが同一コミュニティに再度集まって議論し,更に大きな技術体系として発展させることを目指している.

(平成29年5月1日受付)

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(さい)(とう) (ひで)() (正員:フェロー)

 昭62慶大・理工・電気卒.平4同大学院博士課程了.同年慶大・理工・助手,平18教授.この間,平7~9までカーネギーメロン大訪問研究員.コンピュータビジョン,複合現実感等に関する研究に従事.現在,桧情報・システムソサイエティ副会長(技術会議担当).博士(工学).

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(ふな)(とみ) (たく)() (正員)

 平14京大・工・情報卒.平18学振特別研究員DC2.平19京大大学院情報学研究科博士課程了.同年京大学術情報メディアセンター助教.平26スタンフォード大客員助教.平27から奈良先端大情報科学研究科准教授.コンピュータビジョン,コンピュータグラフィックスの研究に従事.博士(情報学).

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(もり) (しょう)(へい) (正員)

 平23立命館大・工・情報卒.平28同大学院博士課程了.平25~28日本学術振興会特別研究員DC1.複合現実感,隠消現実感の研究に従事.現在,慶大・理工・訪問研究員(日本学術振興会特別研究員PD).博士(工学).


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