記念特集 2-2-18 NLC研専の差別化と活性化

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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那須川哲哉 正員 日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所

Tetsuya NASUKAWA, Member (IBM Research-Tokyo, IBM Japan, Ltd., Tokyo, 103-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1078 2017年10月

©電子情報通信学会2017

 本研究会は,1986年に言語処理とコミュニケーション研究専門委員会として発足し,1989年に言語理解とコミュニケーション研究専門委員会(以降NLC研専)と改称されて現在に至っている.初代専門委員長が辻井潤一氏であり,現委員長が第15代の金山博氏である.設立提案書には,「自然言語による情報の伝達機構を解明し,これを通信システムに反映することによって,人間―人間系,人間―機械系でのコミュニケーションを円滑なものとすることは,本学会の目的から見ても,非常に重要なことである.」と記述されている.当時の学会名が電子通信学会であったこともあり,通信との融合を考慮した自然言語処理を一つの特徴とした研究会として発足した.その後「言語処理」を「言語理解」に改称し,単なる処理ではなく,認知科学なども考慮した理解の領域に踏み込もうという特色が加わり,主に自然言語処理の研究者を対象とした研究発表や議論の場を提供してきた.

 しかし,筆者が委員長に就任した2010年当時のNLC研専の状況は厳しかった.1975年に発足した情報処理学会の自然言語処理研究会(当初計算言語学研究会で1981年に改称)に加え,1994年に発足した言語処理学会の台頭もあって,自然言語処理研究の発表の場としてのNLC研専の存在感が低下しており,研究会で発表してくれそうな人を探し,直接お願いしないと人が集まらないという話も出ていた.筆者は研専にも属していなかったが,活性化を願う前委員長の井ノ上直己氏からの強い要請を受けて委員長となった.就任後,幹事団や研専の中での呼称を全員「さん」付けにすることから改革を始め,幹事団を中心に,NLC研専の価値を高めるべく,研究会で議論を活発化させるためのディスカッションタイムの設定,優秀研究賞・学生研究賞の創設といった新しい取組みを積極的に進めた.また,選奨担当や財務担当などの役割分担も明確にした.

 様々な取組みの中で,最も功を奏したのが,テキストマイニングへのフォーカスであった.大量のテキストデータから有用な知見を得るためのテキストマイニングは,その成果がデータの質や分析者のスキルに依存するため,研究としての評価が難しい.しかし,自然言語処理の価値を高めることのできる応用技術であり,ビッグデータ時代を背景に,高い需要が見込まれた.そこで,2011年7月に「第1回テキストマイニング・シンポジウム」を開催した.継続的な取組みを意識して「第1回」と冠した.うれしいことに,多数の発表申込みがあり,約150名という近年にない参加者数であった.自然言語処理の研究者だけでなく,テキストマイニングを活用したいと考えている多様な分野の研究者や企業ユーザの参加者も多く,とても活気のある研究会になった.翌年以降も毎年開催,2014年からは,年2回,2月頃に関西圏で百名規模,9月頃に東京圏で二百数十名規模の参加者を集めて開催するようになり,最近では,2017年2月に大阪で第10回を開催した.参加者が増えると活気が生まれ,新しいことに取り組みやすくなる.注目度が向上し,招待講演なども依頼しやすくなって,第一線の国際会議参加者に最新動向の報告をしてもらうなど,一層充実した内容になった.結果的に,リピータが増え,産学連携の要素も高まり,更にテキストマイニング・シンポジウム以外のNLC研専の研究会でも参加者が増えるなど,NLC研専の活性化につながっている.

(平成29年4月29日受付 平成29年5月25日最終受付)

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()()(かわ) (てつ)() (正員)

 昭62早大・理工卒.平元同大学院修士課程了.同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社.以来,自然言語処理の研究に従事.現在,同社東京基礎研究所主席研究員.工博.平24年度文部科学大臣表彰科学技術賞受賞.著書「テキストマイニングを使う技術/作る技術」など.


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