記念特集 2-2-19 人工知能と知識処理の歴史とこれから

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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片上大輔 東京工芸大学工学部コンピュータ応用学科

Daisuke KATAGAMI, Nonmember (Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University, Atsugi-shi, 243-0297 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1081 2017年10月

©電子情報通信学会2017

 人工知能と知識処理研専(1)は今から32年前,人工知能第二次ブームの真っただ中の1985年(昭和60年)12月に新設の提案がされた.設立主旨を見ると,「近年,人工知能や認識処理に対する関心が高まり,その基礎から応用まで広く研究が行われている.~中略~一方先駆的な立場にあるアメリカ合衆国では,アメリカ人工知能協会(AAAI)がこれらの研究を統一的に扱っていて,人工知能に関する研究発表の大会を,隔年に主催している.また人工知能国際会議(IJCAI)が隔年に開かれているが,現在,この会議を担当する日本国内の組織がないため,会議運営に国内の研究者の意見を反映させることが困難である.」とある.

 現在,世の中は,第三次人工知能ブームで盛り上がっている.連日のニュースや新聞,番組で人工知能の言葉が踊っている.本研専においても,新たな局面,ターニングポイントに差し掛かっている.

 さて,今後を語る前に,過去を知らないと何も語れない.そこで,CiNii(2)で「人工知能と知識処理」で調査を行ってみた.CiNiiでは,1993~2017年までの24年間の間に,約370人の著者によって執筆された1997件の論文情報が閲覧可能である.これ以前については,印刷資料にて確認が可能である.これらの執筆者の名前を確認すると,本研専においていかにすごい方々が関わってきたのかが分かる.様々な学会の元会長,元理事,世界的に有名な研究者,若手で精力的に活躍している研究者など,多くの有名な先人たちの名前で埋め尽くされている.先人たちが築き上げた,長い歴史を持つ人工知能と知識処理研専であるが,長い歴史があるがゆえの問題点も存在する.

 日本では,現在高齢化社会の影響もあり,また,ポストの問題もあり,研究者を目指す学生の絶対数が減ってきている.つまり,若手研究者が減ってきつつあり,これからの時代を担う若手研究者をどのように増やしていくのかは,切実な問題である.

 また,現在では,設立された時代とは異なり,他学会においても多くの類似研究会が設立されている.本研専は,32年の歴史を持つが,他学会の類似研究会との交流や,連携も今後の大きな課題になるだろう.近年は,研究テーマが,社会システム,コミュニケーション,異文化,雰囲気工学,データ市場,Linked Open Data,人間共生システムなど,筆者自身の企画も含め,研究対象がかなり拡大されてきていると感じられる.テーマの拡大はある意味良いことではあるが,研専の目指すべき方向性については,コンセンサスが明確にあるわけではない.今後議論の対象であると考えられる.

 また,本研専から世界へ直接つながる方向性を模索することも一つの大きな目標であると考えられる.先人たちの活躍に負けぬよう,今後のますますの発展を目指したい.

文     献

(1) 人工知能と知識処理研専,http://www.ieice.org/iss/ai/jpn/

(2) NII学術情報ナビゲータ CiNii, http://ci.nii.ac.jp/

(平成29年5月2日受付)

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(かた)(がみ) (だい)(すけ)

 2002東工大大学院総合理工学研究科了.博士(工学).同年同助手.2010東京工芸大・工・コンピュータ応用学科・准教授.2017同教授.HAIに関する研究に従事し,人狼知能,雰囲気工学に関する研究活動を行う.著書「人狼知能~だます・見破る・説得する人工知能」など.


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