記念特集 2-2-24 暮らしを豊かにするマルチメディアをめぐる一考察

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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日置尋久 正員:シニア会員 京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻

Hirohisa HIOKI, Senior Member (Graduate School of Human and Environmental Studies, Kyoto University, Kyoto-shi, 606-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1091 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.は じ め に

 本稿では「暮らしを豊かにする」という観点でEMM研専の「マルチメディアコンテンツの価値を高める・創る・測る・守る」という四つの研究領域の近い将来について一例を示してみる.具体的にはユーザのし好に基づいてコンテンツを検索,変換/統合することで,価値を高めたり創り出したりすること,またその価値を測ること,価値を守ることについてアイデアを簡単に述べてみる.

2.コンテンツの価値と豊かな暮らし
―ユーザのし好のモデル化―

 暮らしが豊かであるとは,生活の中で心に余裕があり,満足できている状態と言えるだろう.このときマルチメディアコンテンツは,生活に潤いを与え,満足度を高めることに資すると考えられる.ただし人の好みはまちまちであり,インターネットの数限りないコンテンツから好みに合うものをうまく発見できるかどうかがポイントとなる.

 効率良くコンテンツを探す仕組みとして推薦システムがあり,ユーザのし好を評価する枠組みが作られている(1).しかし筆者の理解する限りでは推薦のための情報はサービス運営側にあり,推薦されるのはサービスごとのコンテンツとなる.

 そこでユーザのし好をモデル化したエージェントをユーザが分身として利用することを考える.エージェントがユーザになり代わってユーザのし好に合ったコンテンツを探すことができれば,インターネットの価値を高めることができるだろう.

 このとき見つかったコンテンツをユーザに合わせてアレンジすること,例えばユーザの聴覚特性に合わせて,楽曲を最適化することも考えられる(2).また異種コンテンツを統合すること,例えばユーザのし好に基づいて映像と音楽を組み合わせることで,ユーザ独自のコンテンツを創り出すことも考えられる.

 なおコンテンツを検索,変換,統合するときの価値はユーザのし好モデルに基づいて測る.またコンテンツをネットワークで流通させて適切な利用を進めるために,IHC研究会(注1)で開催されているコンテストを通じて電子透かしの技術の完成度を高め,実用化することで,コンテンツの価値を守ることができるだろう.

3.ま  と  め

 本稿では「暮らしを豊かにするマルチメディア」というテーマで,ユーザのし好をモデル化したエージェントを考え,それを基に,コンテンツの価値を高める,創り出す,またその実現のために価値を測り,適切に利用するために価値を守ることについて,ごく簡単にアイデアを述べてみた.

文     献

(1) 神嶌敏弘,“推薦システムのアルゴリズム,”Sept. 2016, http://www.kamishima.net/archive/recsysdoc.pdf(2017年4月27日閲覧)

(2) 西村 明,越前 功,西村竜一,新見道治,日置尋久,青木直史,“EMMが目指すマルチメディア情報処理の未来,”信学技報,EMM2011-7, pp.37-40, May 2011.

(平成29年4月26日受付)

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()(おき) (ひろ)(ひさ) (正員:シニア会員)

 平4東大・理・情報科学卒.平9同大学院博士課程単位取得退学.同年京大・総合人間・助手着任.以来,情報ハイディング,情報可視化の研究に従事.現在,同大学院人間・環境学研究科教授.博士(理学).著書「研究ベース学習」など.


(注1) IHC研究会(二種研).https://www.ieice.org/iss/emm/ihc/


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