記念特集 2-2-26 今後の課題

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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山下直美 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所

Naomi YAMASHITA, Nonmember (NTT Communication Science Laboratories, NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION, Kyoto-fu, 619-0237 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1095 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.これまでの研究

 これまでに異文化コラボレーション特別研専で発表されてきた研究を大まかに分類すると,以下の傾向が見られる.まず,異なる母語を持つ者同士の異言語間コミュニケーションを支援することを目標とした研究が大半を占める.それらを更に分類すると,コミュニケーションツールとして機械翻訳を用いることを前提とした上で,機械翻訳を介したコミュニケーションの改善を目指す研究,異言語話者同士の円滑なコミュニケーションを実現するためにコミュニケーションフレームワークを提案する研究,多言語コミュニケーションの現状を把握するための研究の三つに大別できる.

・ 機械翻訳を介したコミュニケーションの改善

例1:言語資源の整備

例2:システム機能提案

・ コミュニケーションフレームワークの提案

例1:円滑な相互理解のためのフレームワーク

例2:多言語サービスのためのフレームワーク

・ 分析による現状把握

例1:異言語コミュニケーション現場の分析

例2:Wikipediaなどの異言語サイトの比較

2.今後の研究の方向性

 昨今,機械翻訳や自動音声認識の精度が急激に向上し,様々なアプリケーションで利用可能になったことにより,これらの情報技術は急速に私たちの日常生活に普及しつつある.街中でも,これらのアプリを用いて外国人旅行客とレストランの店員が会話をする様子などを目撃するようになった.

 しかし,これらの情報技術を用いたコミュニケーションコラボレーションに関する研究は,まだ少なく,現場においてどのような問題が生じるか,ほとんど分かっていない.実際,つい最近まで,機械翻訳などの情報技術は,コミュニケーションの用途に用いるには未熟という認識であった.この認識が変わりつつある今,異言語間コミュニケーションの研究をしてこなかった人でも,この研究を始める好機であると言える.

 今後,特に以下の研究課題に取り組む必要性が増すと考える.まず,翻訳・音声認識アプリが普及し,様々な場面で利用されることによって,コミュニケーションコラボレーションの現場に多様な影響を及ぼすと考えられる.通常,情報技術の利用方法はドメインごとに異なるため,そこで生じる現象や問題も異なることが予想される.そのため,ドメインごとに生じる問題を特定し,解決できるサイズまで分解することが重要である.また,ここで発見された問題を解決・支援する際に,最適な情報技術の組合せを検討する必要がある.特に,異言語間コミュニケーションは,対話者の言語能力によって大きく変化するため,支援方法をパーソナライズしていく必要がある.最後に,真に豊かなグローバル社会を実現する上で,他の文化に対する理解を促す情報技術を構築していく必要がある.

(平成29年6月7日受付 平成29年6月28日最終受付)

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(やま)(した) (なお)()

 1999京大・工・情報卒.2001同大学院情報学研究科数理工学専攻修士課程了.同年,日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所入所.博士(情報学).CSCW,HCIの研究に従事.


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