解説 ロボットコンテストAmazon Picking Challenge

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解説

ロボットコンテストAmazon Picking Challenge

Robotics Competition: Amazon Picking Challenge

岡田 慧

岡田 慧 東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻

Kei OKADA, Nonmember (Graduate School of Information Science and Technology, The University of Tokyo, Tokyo, 113-8656 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.2 pp.129-133 2017年2月

©電子情報通信学会2017

abstract

 近年,知能ロボット分野においてコンテスト型の研究開発が盛んになってきている.そFの一つにAmazon社が開催する“Amazon Picking Challenge(APC)”がある.これは,倉庫に届いた物品を物品棚に詰め,更に注文された商品を物品棚から取り出し集める作業をロボットに行わせるための技術コンテストである.

 既に各媒体で報告や報道がされているが,本稿では筆者の参加経緯や経験も踏まえながら,コンテストでの競技内容や技術課題について解説し今後の知能ロボティクスの研究動向について考察する.

キーワード:ロボット研究,コンテスト型研究開発,物品操作,Amazon Picking Challenge

1.ロボットコンテスト型研究開発

 コンテスト型の研究開発では研究資金提供元は解くべき課題のみを提示し,最低限の資金を提供しながら各研究チームが自由に手法を選択し,その課題を最も良く解いたところに賞金を出すというものであり,提供元から見たら実際に動く技術をコストを掛けずに知れる最も良い方法であり,参加者からするとモチベーション高く研究に取り組むことができる.

 ロボット分野におけるコンテスト型の研究開発は自律運転車の研究開発DARPAグランドチャレンジの成功により広く認知された.2004年は11.78kmしか進まなかったが翌年には4台が240kmを完走し,更に2007年には市街地で96kmにわたって自律運転し,その急速な技術の進歩は多くの注目を集めた.

 特に近年はヒューマノイドロボット等を用いた災害対応タスクを対象としたDARPAロボティクスチャレンジや,棚に入った物品のPick and Placeを対象としたAmazon Picking Challengeなど,世界中の研究機関が参加するコンテストが開かれ,そこで設定された課題は一つの標準課題となり,その成果がロボティクスの国際学会でも発表されている.

 これはヒューマノイド研究や物品操作研究において各研究者が是非解きたいと思うようなチャレンジ性を有しつつも,1~2年である程度の成果を出せそうという適切な難易度の課題の設定が可能になってきているということを意味している.また,画像処理や機械学習分野では標準的なデータセットが技術の比較を可能にし分野の発展に大きく寄与してきたが,ロボティクスの分野では使うロボットも扱う対象も各研究者によって異なり,成果の比較が困難であったという背景がある.多くの研究者がコンテストにより成果の比較と議論の深化を期待した.

2.Amazon Picking Challenge

 Amazon Picking Challenge(APC)は2014年に開催がアナウンスされ,これまでに2015年5月と2016年7月の2回開かれた.

 開催アナウンスには,非構造化環境での物品把持は未解決の問題であり,産業界とアカデミアの研究コミュニティの結束を強め解決法の共有の推進を目指す.具体的な課題として‘Kiva Pod’と呼ばれる実際の倉庫で利用されている棚に配置された物品を規定の時間内に取り出した数で評価するものであり,参加者はロボットのハードウェアと物体認識,姿勢認識,把持計画,コンプライアンス制御,動作計画,タスク計画,タスク実行,エラー検出と復帰等のソフトウェア技術を統合し課題の解決にあたる,としている.


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