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ラジオの基本:AM検波の超越方程式

Revisit the Centennially Running Radio Wave Detector from a Sophisticated Network Analysis

大平 孝

大平 孝 正員:フェロー 豊橋技術科学大学未来ビークルシティリサーチセンター

Takashi OHIRA, Fellow (Research Center for Future Vehicle City, Toyohashi University of Technology, Toyohashi-shi, 441-8580 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.2 pp.134-137 2017年2月

©電子情報通信学会2017

1.100年の方式

 本会が創立100周年を迎える.アナログからスタートした情報伝送システムが集積論理回路と信号処理技術の進歩によりことごとくディジタルに生まれ変わった.この状況にあってもなおAMラジオ放送は100年変わらず世界中で運用され続けている.ゲルマニウムダイオード1本で受信できるシンプルさがアナログAM方式の強みである.AM検波はこのような実用性に加え,ワイヤレス技術者の教育的観点からも意義深い.たかがダイオード,されど動作は奥深い.最も初歩的な直列検波回路でさえ電圧や電流が超越方程式に支配される.なぜ超越なのか.コイル・ダイオード・コンデンサの3素子から成る100年方式の基本動作を紙と鉛筆で完全解明する.

2.検波回路の構成

 基本的なAM検波回路を図1に示す.入力として正弦波電圧mathと抵抗math(例えば50math)から成る一般的な信号源を想定する.mathは放送周波数(MHz帯)である.振幅mathは実際には音声周波数(kHz帯)で時間的に変動しているが,MHzに比べてゆっくりなのでここでは簡単のため定数(直流)とみなす.チョークコイルは直流を短絡し,MHz帯だけをダイオードへ伝える高域フィルタである.平滑コンデンサはMHz帯を短絡し,直流成分だけを負荷mathへ伝える低域フィルタである.

fig_1.png

3.コイルの働き

 図1に示す信号源の正弦波電圧から抵抗mathによる電圧降下分を差し引いた残りの電圧

math

(1)

がコイルに掛かる.一般にコイルには直流電圧が掛からないという性質があるので電圧波形の直流成分すなわち1周期の時間平均値は0である.

math

(2)

積分記号の丸印は積分区間が1周期(math秒間)であることを示す.式(1)を(2)に代入すると

math

(3)

となる.第1項を計算するとゼロになるので,結局

math

(4)

を得る.つまりチョークコイルのおかげで信号源に直流成分が逆流することが免れている.

4.コンデンサの働き

 次に平滑コンデンサの電流に着目する.図1において,ダイオードのオンオフにかかわらず電流保存則

math

(5)


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