小特集 5. セルラネットワークの空間確率モデル

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数理的手法の多様化・深化による通信システムへの新たなアプローチ

小特集 5.

セルラネットワークの空間確率モデル

Spatial Stochastic Models of Wireless Cellular Networks

三好直人

三好直人 東京工業大学情報理工学院数理・計算科学系

Naoto MIYOSHI, Nonmember (School of Computing, Tokyo Institute of Technology, Tokyo, 152-8552 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.4 pp.280-286 2017年4月

©電子情報通信学会2017



本会誌では,用語は①文部省(文部科学省)学術用語集電気工学編,②本会編の改訂電子情報通信用語辞典,③本会編のエンサイクロペディアハンドブック,用字は④文化庁編の公用文の書き表し方の基準,に基づき統一しているが,本稿では,著者の希望により,必ずしもこれを適用していない.

abstract

 最近,無線通信ネットワークに対して,無線ノードの位置を空間点過程を用いて表現し,そうして構成された確率モデルを解析して無線ネットワークの設計や性能評価に活かそうという,空間確率モデルの研究が活発に行われています.本稿では,この空間確率モデルについて,セルラネットワークに焦点を当てて概説します.はじめに,基本的な設定のもとでモデルを紹介し,その解析手順を説明します.その後,基本モデルを基にして,現在までにどのような実際の設定を考慮した解析がなされているのかを概観します.

キーワード:空間確率モデル,無線通信ネットワーク,セルラネットワーク,空間点過程,信号対干渉雑音比,被覆確率

1.は じ め に

 最近,無線通信ネットワークの性能評価や設計のために,空間点過程(用語)(spatial point processes)を用いて無線ネットワークをモデル化・解析しようという研究が活発に行われており,専門書(1)(5)や解説/サーベイ/チュートリアル論文(6)(12)も次々に発表されています.この背景には,無線ネットワークの性能が無線ノードの位置に大きく依存すること,そして,無線ノードは規則正しく配置されている訳ではなく,一見ランダムに見える不規則な配置をしていること等があります.すなわち,ランダムに見える無線ノードの不規則な配置を,2次元(または3次元)空間上のランダムな点配置を表す空間点過程を用いて表現しようという訳です.こうして構成されたモデルは,空間確率モデル(spatial stochastic models)あるいは確率幾何モデル(stochastic geometry models)等と呼ばれ,点過程や確率幾何の理論(13)(15)を用いて解析されます.

 ところで,ある地域に設置されている無線ネットワークの性能を調べたいとき,無線ノードの位置データが手に入るのであれば,それを用いてシミュレーションを行うのが最も有効な手段の一つであることは言うまでもありません.しかし,それで得られた結果は,その地域に特有のものかもしれません.一方で,空間確率モデルを用いる方法では,(どこの地域でもない)一般的な無線ノードの配置がしたがう確率分布を用いて解析を行うので,(解析が出来さえすれば)特定の地域に依存しない,言い換えれば,どこの無線ネットワークにも(ある程度は)当てはまる普遍的な性能評価が可能です.

 本稿では,特にセルラネットワークに焦点を当て,この空間確率モデルについて概説します.はじめに,最も基本的な設定のもとでのモデルを紹介し,その解析手順を説明します.そして,この基本モデルを基にして,現時点でどのような実際の設定を考慮した解析がなされているのか,スペースの許す範囲で概観します.セルラネットワークの空間確率モデルに対しては,その歴史から最新の結果までを含む詳細なサーベイが文献(10)にありますので,興味をもたれた方はそちらもご参照ください.


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