小特集 3.【企業】企業からのイノベーションへの挑戦

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デザインイノベーション――専門や業種を超えた課題解決に向けて――

小特集 3.

【企業】

企業からのイノベーションへの挑戦

Challenges for Innovation in Companies

角岡幹篤 黒瀬義敏

角岡幹篤 (株)富士通研究所IoTシステム研究所

黒瀬義敏 富士通株式会社ネットワークサービス事業本部

Motoshi SUMIOKA, Nonmember (IoT Systems Laboratory, Fujitsu Laboratories Ltd., Kawasaki-shi, 211-8588 Japan) and Yoshitoshi KUROSE, Nonmember (Network Services Business Unit, Fujitsu Limited, Tokyo, 144-8588 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.7 pp.621-627 2017年7月

©電子情報通信学会2017

abstract

 日本企業はイノベーションに常に挑戦し続けているが,シリコンバレーのようには実現していない.筆者らは,その最大の原因が,文化と制度の両面にわたる「自発的活動への制限」だと考えている.今回,試験的に,多くの社員たちの自由な意思と発想を尊重し,彼らの思いに沿って,会社の力を全面的に使えるように支援した.その結果,社内外のメンバーから成る自発的なチームが多数結成され,多くの活動が生まれた.一部では売上も出始めている.その成功と課題について紹介する.

キーワード:イノベーション,ハッカソン,スタートアップ,スモールスタート

1.イノベーションを実現するプロセス

 シリコンバレーのように画期的なイノベーションを量産したい.しかし,なかなかうまく行かない.リソースと技術を豊富に持つはずの大学や大企業でも,市場予測の困難性,起業に適した人材の不足,企業ならではの責任所在や人事・知財取扱いなどの課題があり,「技術的には可能」を越えて新しいエコシステムを作るのは困難だ.

 そんな困難を乗り越えようと,様々な取組みが行われている.当社でも,競技団体や医療機関と連携し,AI等の新技術を,スポーツやヘルスケア等の新領域へ適用する取組みがある(1).また,国や自治体でも,新しい産官学の連携を進めるためのファンドやプログラムが創設され,イノベータを支援している.

 組織的な取組みの一方で,破壊的に斬新なアイデアは組織内では生まれづらいとも言う(2).そのため,イノベーションを起こすには,組織的な活動と並行して,個人的な活動を育てることも重要である.模式的に表すと,例えば,次のような3段階を進める必要がある(図1)(3)

第1段階:「個人活動」
自分の思い付いたアイデアを自分で温める.

第2段階:「チーム活動」
アイデアの協力者を募り事業企画や技術試作を行う.

第3段階:「プロジェクト活動」
投資家や会社に説明し,予算と体制を組んで活動する.

 一見,当たり前のように見えるこの3段階であるが,日本の多くの企業ではこのプロセスの実行が苦手である.特に,第2段階で期待されるような,既存組織を越えて自律的にチームを作って活動する文化は根付いておらず,プロジェクトの創出に至っていない.そこで,筆者らは,具体的なプロセスを設計してチーム作りを先導することで,自主的なチームの量産及び新プロジェクトの創出ができるかを検証した.次章からは,まず,具体的な事例でプロセスを紹介し(2.),次に,特に重要なポイントについて解説する(3.).最後に,プロセスの推進を通して発見された課題とその解決に向けた取組みについて紹介する(4.).筆者らはこれを主業務ではなく,業務の合間の有志活動として行った.つまり誰でも実行可能である.筆者と読者の組織は違えど,共通する点も多いと思うので参考にして頂きたい.

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