解説 ポストムーア技術としてのシリコンフォトニクス

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解説

ポストムーア技術としてのシリコンフォトニクス

Silicon Photonics as a Post-Moore Technology

山田浩治

山田浩治 正員:シニア会員 国立研究開発法人産業技術総合研究所電子光技術研究部門

Koji YAMADA, Senior Member (Electronics and Photonics Research Institute, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Tsukuba-shi, 305-8569 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.7 pp.648-654 2017年7月

©電子情報通信学会2017

abstract

 コンピュータシステムにおけるムーアの法則は終えんを迎えつつあり,そのデータ伝送を担う基幹技術であるフォトニクスにもポストムーア時代に対応できる技術が求められている.エレクトロニクスの流れをくむシリコンフォトニクスは,エレクトロニクスにおけるポストムーア技術の開発アプローチと整合性が良く,即効性のある解を提供するであろう.しかしながら,そのシリコンフォトニクス自身も,量子的なスケーリング限界と材料物性の観点から,既に新しい技術を必要としている.本稿では,ポストムーア技術としてのシリコンフォトニクスについて,バックエンドフォトニクスやプラズモニクスなどの新奇技術による進化も含めて解説する.

キーワード:シリコンフォトニクス,ムーアの法則,バックエンドフォトニクス,プラズモニクス

1.は じ め に

 近年,情報伝送システムはムーアの法則の終えんに直面しつつある.例えば,典型的な大形データセンターの総スイッチング容量は10年で100~1,000倍の増加を示しているが(1),この増加率はエレクトロニクスのムーアの法則を大幅に超えたものである.そして現在のスイッチングシステムにはエレクトロニクスが用いられているので,このような爆発的な増加を継続することは困難であろう.よりグローバルなネットワークシステムにおいてもムーアの法則は既に破綻しつつある.例えば,光ファイバ1本当りの伝送容量は,過去30年間にわたり,TDM,WDM,そして多値変調フォーマットやディジタルコヒーレント技術などのパラダイムシフトを通じ,年率80%で増加してきたが,現在は理論限界の非線形シャノン限界が見えてきている(2)

 このような伝送容量の爆発的な増加に対応するには,情報伝送システムの基本構成技術であるエレクトロニクスとフォトニクスの両者にポストムーア技術が必要であり,既にエレクトロニクスにおいてはポストムーア技術の開発が活発に進められている.エレクトロニクスにおけるポストムーア技術の開発アプローチはモアムーア,モアザンムーア,そして新原理デバイス/アーキテクチャである.これらのアプローチはエレクトロニクスに限定されない汎用的な概念であり,フォトニクスにおけるポストムーア技術の開発にも適用できるであろう.特に,エレクトロニクスの流れをくむシリコンフォトニクスはフォトニクスのポストムーア技術の開発において,取りあえずは即効性ある解を提供している.

 そこで,本稿では,まずシリコンフォトニクス概要とそのポストムーア技術への適用について述べ,更にシリコンフォトニクスの技術的限界と更なるポストムーア技術に向けた開発アプローチについて議論する.


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