小特集 3. 汎用ビデオカメラを用いた可視光通信――仮想正弦波による高効率な可視光通信――

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.101 No.1 (2018/1) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


可視光通信の最新動向

小特集 3.

汎用ビデオカメラを用いた可視光通信

――仮想正弦波による高効率な可視光通信――

Visible Light Communications Using Off-the-shelf Movie Cameras: A High-efficiency Visible Light Communications with Virtual Sinusoidal Wave Concept

橋爪宏達 杉本雅則

橋爪宏達 正員 国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系

杉本雅則 正員 北海道大学大学院情報科学研究科情報理工学専攻

Hiromichi HASHIZUME, Member (Architecture Science, National Institute of Informatics, Tokyo, 101-8430 Japan) and Masanori SUGIMOTO, Member (Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University, Sapporo-shi, 060-0814 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.1 pp.44-51 2018年1月

©電子情報通信学会2018

abstract

 スマートフォンのような可搬端末と高速変調可能なLED照明は社会で広く使われており,両者を組み合わせた可視光通信は魅力的な応用形態である.しかしスマートフォンのビデオカメラは通信用に設計されたものでないため,主に毎秒の撮影コマ数(フレームレート)の不足により,実現できる通信速度に大きな制約のあるのが現状である.通信においてビデオカメラは通信用光源の明るさをコマ撮りしているのだが,カメラは瞬間の明るさをとらえるのではなく,一コマの撮影時間での光源の明るさを積分し,その平均的明るさを取得している.この動作をインテグラルサンプラとしてモデル化すると,ビデオカメラ特有のディジタル信号処理形式を導くことができる.特にカメラの数フレームで一つの情報シンボルを伝達するように通信を設計すると,カメラのフレームレートの整数分の1を基本周波数とする仮想正弦波の概念を得られ,可視光通信を,仮想正弦波を搬送波のように扱うディジタル変調通信として再設計できる.これはビデオカメラによる可視光通信で達成された通信速度を大幅に改善する可能性を持つほか,各種の可視光通信にも使用できる汎用的なモデル化技法である.

キーワード:可視光通信,ディジタル信号処理,モバイル端末,スマートフォン

1.は じ め に

 スマホ(スマートフォン)のようなビデオカメラを備えた可搬形情報端末の普及を考えると,これと変調光源を組み合わせて手軽に可視光通信を行う応用携帯は魅力的である(図1).しかしスマホのビデオカメラのフレームレートmathは典型的には毎秒30コマないし60コマであって,そのため専用受光素子を使う可視光通信に比べてごく低速な通信しかできない.送信に点滅する点光源を用いる従来製品で達成されたのは数bit/sから10bit/s程度の速度のことが多い.これはWi-Fi無線通信などで行われている通信速度と比べて全く不十分で,ビデオカメラの可視光通信応用を制限する主因となっている.

fig_1.png


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録


  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。