解説 SPICE誕生から40年,アナログ回路シミュレータに用いられる解析アルゴリズムとその最新動向

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解説

SPICE誕生から40年,アナログ回路シミュレータに用いられる解析アルゴリズムとその最新動向

40 Years since the Birth of SPICE, Analysis Algorithm Used in Analog Circuit Simulator and Its Latest Trend

浅井秀樹

浅井秀樹 正員:フェロー 静岡大学電子工学研究所ナノビジョン研究部門

Hideki ASAI, Fellow (Institute of Electronics, Shizuoka University, Hamamatsu-shi, 432-8561 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.1 pp.73-78 2018年1月

©電子情報通信学会2018

abstract

 アナログ回路設計で不可欠となるシミュレータの代表として1970年代にSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)が誕生した.SPICEは,設計されたアナログ回路を動作検証するためのツールとして不可欠であり,世界中で汎用されてきた.そして,回路動作の高速化,高密度化とともに,シミュレーション手法,デバイスモデリング手法も進化してきた.

 本稿では,誕生から40年余りが経過してきたSPICEシミュレータの基本アルゴリズム,歴史的変遷について振り返る.そして,最近の進展について解説するとともに今後の展望について述べる.

キーワード:アナログ回路設計,回路シミュレータ,SPICE,タイミングシミュレータ,LIMとその派生

1.回路シミュレータの基本的構成

 回路シミュレータの概念が図1に示される.

fig_1.png

 SPICEは,単なる数値解析プログラムとは異なり,いわゆるネットリストの読取り部があるほか,各種のデバイスモデルライブラリを含むことが大きな特徴の一つとなっている(1)(3).SPICE系回路シミュレータは,回路の

 (1) 定式化

 (2)(1)で構成された方程式の数値解析

 (3) 入出力特性の表示

を実行する.回路は,一般的に,抵抗(math),容量(math),誘導(math)や電圧源,電流源,そして,能動素子としてのトランジスタなどから構成されている.回路構造と素子値は,通常,ネットリストと呼ばれる一定の書式に従った記述により表現される.このネットリストは,回路図と等価である.回路の定式化とは,キルヒホッフの電圧則(KVL),電流則(KCL)に従って,回路のダイナミクスを回路内の節点電圧ベクトルmathや枝電流ベクトルmathを状態変数とした方程式により記述(モデル化)することである.代表的な定式化手法として,節点解析法,修正節点解析法,スパースタブロー法がある.標準シミュレータSPICEでは,一般性を有する修正節点解析法が広く利用されている.(ここで標準回路シミュレータとは,2.に示される回路解析アルゴリズムで構成されたプログラムのことである.)


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