特別小特集 4. 脳波のフラクタル解析を用いた多機能電話の操作性評価

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特別小特集 4. 脳波のフラクタル解析を用いた多機能電話の操作性評価

中川匡弘 正員 長岡技術科学大学大学院工学研究科5年一貫制博士課程技術科学イノベーション専攻

Masahiro NAKAGAWA, Member (Faculty of Engineering, Nagaoka University of Technology, Nagaoka-shi, 940-2188 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.10 pp.977-981 2018年10月

©電子情報通信学会2018

1.は じ め に

 人口減少や高齢化社会に直面する信越地域において,医用・福祉関係の要請に応える産業分野の創成,とりわけ,IoTやAI等の次世代産業革命をけん引できる地域に根差した技術開発が渇望されている.(株)ネクスコ・エンジニアリング新潟では,耳や会話の不自由な利用者に向けたタッチパネルによる双方向文字通信機能を搭載した非常電話機(以下,開発機)の開発に取り組んでおり,現行機との間に使用感の差異がないことが重要な要件となっている.

 一方,脳波には,カオス・フラクタル性が潜在することが報告されており(1),それらの性質の工学的応用が期待されている.人間の感性を定量的に評価する手法としては,武者らによる感性スペクトル解析法(ESAM: Emotion Spectrum Analysis Method)(2)や佐藤・中川らによる感性フラクタル次元解析法(EFAM: Emotion Fractal-dimension Analysis Method)(3),(4)がある.前者は,脳波信号の各帯域におけるチャネル間の相互相関係数を感性認識の特徴量として用いており,後者は,脳波信号のフラクタル性に基づき推定されたフラクタル次元を感性認識の特徴量として用いている.本稿では,EFAMを活用することによって,定量的に製品の感性評価を実現した例が報告されている(4)ことを踏まえ,脳機能計測とEFAMにより,開発機の操作性・使用感を定量化して評価する手法とその評価結果を紹介する.

2.実 験 方 法

2.1 使用機器

 脳波計は図1のPolymate((株)デジテックス研究所製:AP1532NS)を使用する.サンプリング周波数は2,000Hzである.脳波測定時は国際10-20電極法に基づき,頭部に図2のように16chの脳波電極を配置する.また,図3(a)に現行機を,(b)に開発機を示す.現行機は受話器と非常通報用押しボタンで,開発機は受話器とタッチパネルで構成されている.

図1 脳波計


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