特集 3-1 第5世代移動通信におけるソフトウェア化と有無線エンドツーエンドネットワークスライシング

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3. 5G を支えるテクノロジー

特集3-1

第5世代移動通信におけるソフトウェア化と有無線エンドツーエンドネットワークスライシング

Network Softwarization and End-to-End Network Slicing in the Fifth Generation Mobile Networking

中尾彰宏

中尾彰宏 正員 東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻

Akihiro NAKAO, Member (Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo, Tokyo, 113-0033 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.11 pp.1101-1110 2018年11月

©電子情報通信学会2018

abstract

 第5世代移動通信(5G)は,2020年のサービスインを目前に,研究開発が全世界で急速に進んでいる.5Gでは,超広帯域(eMBB),超高信頼・超低遅延(URLLC),超大多数接続(mMTC)の代表的なアプリケーションカテゴリーに対するサービスが予定されている.近年,最初にサービスインが予定されているeMBBだけではなく,URLLCやmMTCへの期待が高まり,特にeMBBとURLLCの混在する実証実験が実施されつつある.本稿では,筆者らが進めるドローン空撮のリアルタイム4K高精細映像伝送(eMBB)とリアルタイム物体認識(URLLC)が混在するユースケースを紹介し,ネットワークスライシングやネットワークソフトウェア化が必須の技術であることを議論する.5Gのインフラは,必ずしも新しい無線領域(NR)の技術だけに閉じるものではなく,エンドツーエンドのネットワークスライシング,ネットワークソフトウェア化など,有無線の統合で,新たな新規研究開発分野(エッジコンピューティング,データアナリティクス,網内機械学習)が発展すると考えられる.

キーワード:第5世代移動通信,ネットワークスライシング,ネットワークソフトウェア化,エッジコンピューティング,網内機械学習,データアナリティクス

1.は じ め に

 第5世代移動通信(5G)は,2020年のサービスインを目前に,研究開発が全世界で急速に進んでいる.従来,標準化や実装で先導してきた欧米のみならず,実証実験や標準化の舞台でのアジア(特に中国・韓国)の存在感は大きい.オリンピックは最新のICT技術の披露の場となってきているが,2018年の平昌オリンピックも例外ではなく,別名「5Gオリンピック」と呼ばれるように5Gの最新技術の実証実験が実施されている.

 5Gの研究開発は世界各国で立ち上がったフォーラムを中心として急速に進んでいる.5G技術・IoT技術は,我が国でも最も重要なICTの研究開発として位置付けられており,第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)が2014年9月末に,IoT推進コンソーシアムが2015年10月に立ち上がっている.コンソーシアムで研究開発の方向性が議論され,総務省や経済産業省,及び系列の国立研究所から多くの委託研究プロジェクトがオールジャパンで推進されている.

 5GMFのネットワーク委員会では,特に,超広帯域,超高信頼・超低遅延,超大多数の端末収容,そして,それらを包含する超柔軟性(Extreme Flexibility)を要件として,主にモバイルエッジコンピューティング,モバイルフロントホール・バックホール技術,ネットワーク管理技術,ネットワークソフトウェア化,ネットワークスライシングを中心技術として議論している.特に,研究開発の方向性に関しては,2016年5月末に白書として公開している(1)

 本稿では,5GMFのネットワーク委員会でも特に重要とされている,ネットワークソフトウェア化とエンドツーエンドネットワークスライシングに焦点を当てながら俯瞰し,それらがもたらす便益を整理する.

 また,2020年の5Gのサービスインに向けた様々な研究開発が進む中,総務省が進める総合試験事務・実証実験の一つとして東京大学とKDDIが進めるユースケースの実証実験を取り上げる.5Gを活用したドローンによる上空からのリアルタイム映像サーベイランスにおいて,ネットワークスライシングやネットワークソフトウェア化は,実際のユースケースに照らし合わせても必須の技術であることが裏付けされることを示す.


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