巻頭言 アウトリーチ活動の強化

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Vol.101 No.4 (2018/4) 目次へ

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 編集長として4年目を務めております.この間,なるべく多くの会員の皆様に有意義な情報を分かりやすくお届けしようと会誌編集委員会の方々とともに取り組んでおりますが,時折“あの記事は面白かった”というコメントを頂くこともあり,元気付けられています.

 さて,私が参加している日本学術会議の通信・電子システム分科会では,第23期のテーマとして人材育成を取り上げ,報告の形でまとめました.大学・企業・学会においてそれぞれ人材育成について多くの議論がなされている中,社会や大学以前の教育も含めて人材育成の連鎖を構築していくべきではないかという観点で議論をまとめています.その背景として,人材育成の原点として多くの意欲がある若い人にこの分野に入ってもらうことがあると思いますが,近年この側面が必ずしもうまく機能していないと認識しているからです.人材育成の重要な役割を担う機関として学会についての議論も含まれていますので,一度読んで頂くとよいかと思います.改善方策の重要な視点として,若い頃から技術に興味を持ってもらい自然に高いレベルへの取組みに進んでもらえるように,生涯的な育成の連鎖を作ること,また近年の電子情報通信を取り巻く状況から他分野との連鎖を作ることが必要ではないかということがあります.この観点から,分野の専門技術を持った関係者による小中高の皆さんへの働き掛け,また社会に対する情報発信,すなわちアウトリーチ活動の活性化の必要性が指摘されています.

 最近のニュースで,小学生の将来なりたい職業のアンケート結果として,男子の第1位が学者・博士になったという記事を目にしました.学者・博士というのは漠然としており,理系に限った話ではありませんが,その要因分析として日本人のノーベル賞受賞のニュースを目にする機会が増えたことと理科の実験の内容が充実してきたことが挙げられていることを合わせて考えると,理系分野に対する興味が回復する兆しと捉えてもよいのではないでしょうか.注目すべきことは,実験が充実してきたという点です.本会でも以前から子供の科学教室を開催して,実験による電子情報通信の楽しさを伝える活動を行っていますし,IEEEでも学校の先生方に教材を提供するプログラムTeacher In-Service Program(TISP)が実施されており,数多くの教材が準備されています.また以前のニュースで,ある大学と教育委員会が協力して,学生による学童に対する実験補助プログラムを実行した結果,2012年に行われた国際学習到達度調査(PISA)において,その地方の科学リテラシーの成績が上がったという例も報告されており,こういった活動が学童の理科系分野に対する興味を広げるのに役立つことを示す良い例だと思います.

 このような地道な活動と合わせて,メディアを通じた社会へのアピールも重要だと思います.本会誌に関しても,最近商用の技術関連雑誌と提携して掲載記事の中から社会で広く興味を持たれそうなテーマを選んで,雑誌記事としてより分かりやすい形で会員以外にも広く紹介することを始めていますが,これからは技術者だけではなく一般社会に対して広くアピールしていく施策を考えていくべきだと思います.本会の会員の皆様の知識・見識は非常に貴重な社会財産ですので,より広く社会に紹介していくことはこの分野の継続的な発展につながるものと思います.


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