小特集 5. 高臨場感音響システムの評価

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高臨場感映像・音響が創り出す新たなユーザ体験の評価技術

小特集 5.

高臨場感音響システムの評価

Assessment of Advanced Sound Systems

大出訓史 小野一穂

大出訓史 正員 日本放送協会放送技術研究所

小野一穂 正員 日本放送協会放送技術研究所

Satoshi OODE and Kazuho ONO, Members (Science & Technology Research Laboratories, Japan Broadcasting Corporation, Tokyo, 157-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.8 pp.798-803 2018年8月

©電子情報通信学会2018

abstract

 近年,放送や映画などで5.1サラウンドを上回る立体的にスピーカを配置した三次元マルチチャネル音響方式が導入されている.本稿では,三次元マルチチャネル音響方式の要求条件と基本的な評価項目及び評価法について解説するとともに,2016年8月から試験放送が開始された8Kスーパーハイビジョンの音響方式である22.2マルチチャネル音響方式が,三次元マルチチャネル音響方式の要求条件を満たすことを裏付けるために実施した,一連の評価実験を紹介する.

キーワード:マルチチャネル音響,22.2ch音響,主観評価,勧告ITU-R BS.2051,ARIB STD-B59

1.は じ め に

 近年,放送や映画などで5.1サラウンドを上回る立体的にスピーカを配置した三次元マルチチャネル音響方式が広まりつつある.2016年8月に試験放送を開始した8Kスーパーハイビジョンにおいても,22.2マルチチャネル音響方式(以下,22.2ch音響)が導入されている.

 本稿では,三次元マルチチャネル音響方式の要求条件と基本的な評価項目・評価法について解説するとともに,22.2ch音響が三次元マルチチャネル音響方式の要求条件を満たすことを裏付けるために実施した,一連の評価実験を紹介する.

2.三次元マルチチャネル音響の要求条件

 4K・8Kなどの超高精細,広視野・大画面映像では,2チャネルステレオで表現できる音場よりも広い画面上に音源が描写されるため,映像と音像を一致させるために,上方や下方にもスピーカを配置する三次元マルチチャネル音響方式が用いられている.

 国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)では,超高精細映像のための三次元マルチチャネル音響方式の要求条件の勧告ITU-R BS.1909(1)と,要求条件を満たすスピーカ配置の勧告ITU-R BS.2051(2)を規定している.勧告ITU-R BS.1909が定める要求条件は次のとおりである.

広視野のスクリーン上の任意の位置での音像定位が可能なこと

聴取位置を取り囲む全方向からの音の到来が再現可能なこと

自然で高品質な三次元音響空間を再現できること

最適な聴取エリアが十分広いこと

既存のマルチチャネル音響方式との互換性を有すること

ライブ収録及び生放送に対応できること

 三次元マルチチャネル音響の評価項目には,総合印象に加え,音質,音像定位,空間的印象などがある(3).音質には,明るさなどの音色,忠実度などの音の同質性が含まれる.音像定位は,音源の空間位置に関する評価項目であり,音の到来方向の分かりやすさや音像の明瞭度と,空間的な位置の精度が含まれる.空間的位置については,水平面と垂直面に分けられる場合と,画面の周辺・前方とそれ以外とに区別される場合がある.空間的印象には,残響による包み込まれ感や空間的な均質性などが含まれる.空間的印象も水平面,垂直面,距離感などに区別される場合がある.

3.22.2マルチチャネル音響の設計

3.1 22.2マルチチャネル音響方式の概要

 電波産業会(ARIB)では標準規格ARIB STD-B59(4)の中で,勧告ITU-R BS.2051が規定するSystems C,Hを7.1,22.2ch音響方式として4K・8K放送用の音声スタジオ規格に規定している.22.2ch音響は,上層9ch,中層10ch,下層3chの計22chの主チャネルと2個の低域効果用チャネルから構成される(図1).


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