特別小特集 3-1 我が国の産学連携の現状と東京大学におけるイノベーション創出

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Vol.102 No.1 (2019/1) 目次へ

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特別小特集 3-1 我が国の産学連携の現状と東京大学におけるイノベーション創出

山本貴史 (株)東京大学TLO

Takafumi YAMAMOTO, Nonmember (TODAI TLO, Tokyo, 113-0033 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.1 pp.30-33 2019年1月

©電子情報通信学会2019

1.我が国における産学連携活動の現状

1.1 大学から産業界への知的財産権のライセンス

 2018年は,「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(通称TLO法案)」制定から20周年に当たる年である.この20年で日本の産学連携に対する,大学や産業界の取組みは大きな変貌を遂げ,成長し続けている.それを示す二つのデータを示したい.

 図1は,一般社団法人大学技術移転協議会(以下,UNITTという)のサーベイで,全国の大学のロイヤリティ収入の推移である.ライセンスからの収入だけであるので,共同研究等の金額は含まれていない.これを見ると,2005年の10億6,815万円であったロイヤリティ収入合計が,2016年には30億8,843万円と11年で約3倍になっている.とりわけ注目すべきはランニングロイヤリティの推移である.ランニングロイヤリティというのは,一般的には,大学から産業界へライセンスされた技術が製品化された場合に,その製品・サービスの売上に乗じて得られるロイヤリティのことである.つまり,このランニングロイヤリティが増加しているということは,大学の技術が製品化(あるいはサービスとして事業化)という形で結実し,事業化されていることと,なおかつこれらの製品・サービスの売上が伸びていることを表している.図1の棒グラフの最も下の部分がランニングロイヤリティの推移であるが,2005年に約3億5,383万円であったものが,2016年には,約10億496万円まで伸びており,これは2005年のロイヤリティ収入全体とほぼ同程度の数値になっている.つまり,国立大学法人化からの11年で,大学の技術は着実に産業界に移転され,これが製品化され社会に還元されつつあるということである.長きにわたって産学連携活動が行われている米国の産学連携活動は,日本のベンチマークであるが,米国では,このランニングロイヤリティの収入が全体のロイヤリティ収入の約8割に至っている.着実にランニングロイヤリティが増え続けているとはいえ日本のランニングロイヤリティ比率は,いつかは米国と同様のランニングロイヤリティシェアが全体の8割程度の数値になると思われるし,ロイヤリティ収入全体の増加も期待できる.そういう意味では,日本の産学連携活動は良いスタートを切っているとの評価に値すると思われる.


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