小特集 1. 触力覚通信の仕組み

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触力覚通信の歩みと高品質化

小特集 1.

触力覚通信の仕組み

Mechanism of Haptic Communications

石橋 豊 黄 平国

石橋 豊 正員:フェロー 名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻

黄 平国 正員 星城大学経営学部

Yutaka ISHIBASHI, Fellow (Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology, Nagoya-shi, 466-8555 Japan) and Pingguo HUANG, Member (Faculty of Business Administration, Seijoh University, Tokai-shi, 476-8588 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.1 pp.42-46 2019年1月

©電子情報通信学会2019

abstract

 利用者が触力覚インタフェース装置を用いて現実空間や仮想空間における作業を行う触力覚通信の仕組みと開発の歴史などについて,国内外の大学や企業の研究機関における取組みを紹介しながら解説する.また,触力覚情報とは何かを述べ,触力覚インタフェース装置に提示される反力の計算方法などを説明する.更に,触力覚インタフェース装置間だけでなく,触力覚センサが付与されたロボットと触力覚インタフェース装置間の触力覚情報の転送方法を紹介する.

キーワード:触力覚通信,触力覚インタフェース装置,触力覚センサ,触力覚情報,反力

1.ま え が き

 近年,触力覚通信に関する研究が盛んに行われている(1)(3).利用者は,触力覚インタフェース装置(用語)を用いることにより,遠隔の現実空間や仮想空間にある物体の形状や柔らかさ,表面の滑らかさ,重さなどが感じられるので,あたかも自分が直接その物体を触っているかのような感覚を得ることが可能である.また,触力覚を視覚・聴覚・嗅覚などの感覚と一緒に用いると,臨場感の高い通信が実現できるため,遠隔医療,遠隔教育,ネットワーク型エンタテイメント,深海や宇宙空間などの人が入りにくい場所での遠隔作業など様々な分野での応用が期待されている(4)

 一方で,触力覚は視覚・聴覚に比べると,入出力方式や必要な更新レートなどの特徴が大きく異なる.また,視覚・聴覚通信と比べて,触力覚通信は,利用者と触力覚インタフェース装置の作業対象である物体との間のインタラクティブ性の高い相互作用が重要であり,利用者が物体を操作するときに,物体から利用者が受ける反力の計算が必要である(5).このときに送受信される触力覚情報としては,力情報と位置情報の2種類が存在する.そして,どちらの情報を転送して処理するかによって,転送方式が異なる(6),(7)

 本稿では,触力覚インタフェース装置を用いて現実空間や仮想空間における作業を行う触力覚通信の概要と開発の歴史を解説し,触力覚情報の特徴や触覚インタフェース装置に提示される反力の計算方法について述べる.更に,触力覚情報の転送方式を紹介する.

 以下では,まず,2.で触力覚通信の概要とその開発の歴史について解説し,3.で触力覚情報とその特徴を説明する.次に,4.で反力の計算方法を述べ,5.において触力覚情報の転送方式を紹介する.


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