小特集 創造性・芸術性におけるAIの可能性 小特集編集にあたって

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Vol.102 No.3 (2019/3) 目次へ

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小特集

創造性・芸術性におけるAIの可能性

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 武永康彦

 御存じのとおり,人工知能(AI)は近年大変注目を集めています.2000年代以降が第三次AIブームと呼ばれていますが,ここ数年は特にニュースなど様々なメディアで取り上げられる機会が多くなっているように思います.囲碁や将棋ではAlphaGoとponanzaがそれぞれトッププロを破ったことは大きな話題となりました.また,AIを用いた様々なアプリケーションが実用化されてきていることも注目を集めています.これまで人間が行ってきた仕事も,AIに任せた方が人間よりも良い結果を出してくれることが少しずつ増えてきて,近い将来人間の仕事の多くがAIに奪われるのではないか,という議論も行われています.

 そんな中で,一番人間らしい,人間独自の能力である,と思われてきたのは,高度な創造性や芸術性ではないでしょうか.このような能力をAIで実現したいという様々なチャレンジが行われており,例えば将棋でプロ棋士が思い付かなかったような新手をAIが生み出しているように,既にあるレベルの創造性を実現していると考えてよいでしょう.

 本小特集では「創造性・芸術性におけるAIの可能性」と題して,広い意味での芸術の幾つかの分野における,AIを用いた創作や創作支援の研究を紹介するほか,創造性とAIの関係についての考え方に関して幾つかの立場からの記事を御執筆頂くことができました.

 まず1章では,シナリオの自動生成に関する研究を例として,創造するとはどのようなことか,という考察を述べて頂きました.

 2章から6章までは,様々な分野における,AIを用いた創作に関する研究を紹介しています.2章及び3章のテーマは音楽です.自動作曲に関する異なるアプローチの2件の研究について,それぞれ解説をして頂いています.続く4章のテーマは画像です.ここではイラストやアニメーションの画像理解・生成について解説を頂きました.5章及び6章のテーマは文章です.共にメディアでも取り上げられた,AIによる作詞,ショートショートや俳句の生成について,解説をして頂きました.

 次の二つの章は,AI研究者以外の執筆者による記事になります.7章では,クリエイターの立場から,AIやテクノロジーと人間の関係についての考察を頂きました.また8章では,AIによる創作物の著作権について,著作権法の専門家に解説して頂きました.最後の9章では,まとめとして,現在のAIの持つ創造性とその未来について御執筆を頂きました.

 もちろん本小特集で取り上げた以外にも,芸術や創造性を必要とする分野へのAIの応用に関する研究は数多く行われており,今後更に急速な進歩が起こっていくかもしれません.AIはどこまでの創造性・芸術性を実現することができるのでしょうか.

 最後に,お忙しい中,本小特集に原稿を御執筆頂いた執筆者の皆様と,本小特集の企画立ち上げ時に御尽力頂いた元編集委員の洲鎌 康氏及び,小特集編集チームの皆様,学会事務局の皆様に深く御礼申し上げます.

小特集編集チーム

 武永 康彦  大垣 慶介  高木 一義  傘   昊  安藤  映  小峯 一晃  須賀 祐治  能田 康義  羽多野裕之  藤田 桂英  大橋 剛介  北  直樹  越田 俊介  小林 由枝  白木 善史  土屋 健伸  山本 琢麿  笹岡 直人  水木 敬明 


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