特集 3-3 放送分野におけるIoTサービスへの取組み

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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3. IoTの活用分野と応用例

特集3-3

放送分野におけるIoTサービスへの取組み

IoT Services by Broadcasters

小川展夢

小川展夢 日本放送協会放送技術研究所

Hiromu OGAWA, Nonmember (Science & Technology Research Laboratories, Japan Broadcasting Corporation, Tokyo, 157-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.433-437 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 現在,放送事業者は,スマートテレビやスマートフォン,タブレット等のスマートデバイスを使用したサービスを提供している.また将来的には,より多様なIoTデバイスを使用して,多様な形式での情報提示,ユーザデータの収集,コンテキストの解析,コンテンツ提示の自動化等を実現することが期待される.本稿では,現在の放送分野におけるIoTの使用状況と,将来的なIoTサービスの実現に向けた取組みを紹介する.また,筆者らが研究する「放送コンテンツを起点としたIoTサービス」を紹介する.

キーワード:放送,放送通信連携,コンテンツ起点,Hybridcast

1.は じ め に

 放送事業者が提供するサービスの一つは,放送波によって家庭のテレビに向けて映像コンテンツを提供することである.かつては,ユーザが情報を取得する手段は限られており,テレビ視聴はその重要な一つだった.一方,技術が進歩した近年においては,情報を取得する手段は多様化している.例えば,スマートフォンやタブレット等の携帯可能なスマートデバイスによって,ユーザは動画像やWeb等のコンテンツを自宅の外でも閲覧することができるようになった.加えて,ユーザがこれらのデバイスで閲覧したコンテンツのデータを収集し,コンテキストを解析し,別のコンテンツをお薦めするレコメンド技術が発達したことで,ユーザが取得すべき情報を自身で選択する手間が軽減された.このように,メディアの分野においてIoTの使用が進む中,放送事業者もIoTを使用したサービスの実現に取り組んでいる.

 本稿では,放送分野におけるIoTの使用に向けた取組みと研究について紹介する.なお本稿では,スマートテレビやスマートフォン,タブレット等のスマートデバイスも,IoTデバイスの一種として扱う.

2.放送分野におけるIoTの現状と将来予測

 IoTデバイスには,機能,演算処理能力などが異なる様々なデバイスが含まれる(1).現状,放送事業者が提供するIoTデバイスで利用可能なIoTサービスは,スクリーンを持ち演算処理能力の高いデバイスを対象としたものが主である.例えば,スマートテレビやスマートフォン等で利用可能な映像視聴サービスとして,NHKが提供するVideo on Demand(VOD)サービス“NHKオンデマンド(2)”や,(株)AbemaTVが提供するストリーミング動画像配信サービス“AbemaTV(3)”等がある.また,スマートテレビ上で放送と連携したWebサービスを提供する放送通信連携サービスがある.放送通信連携サービスのプラットホームとして,主に欧州ではHbbTV(4)が,日本ではHybridcast(5)が運用されている.また,スマートテレビにWi-FiやBluetooth等を用いて携帯端末を接続し,携帯端末からテレビを制御したり,携帯端末上にテレビで再生するコンテンツに関連した情報を提示したりするコンパニオンスクリーンサービスがある.例として,IPTVフォーラムが提供するHybridcast Connect(ハイコネ)(6)がある.


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