特集 4-3 大規模ダークネット観測が捉えたIoT機器のマルウェア感染の現状

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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4. IoTの安全性

特集4-3

大規模ダークネット観測が捉えたIoT機器のマルウェア感染の現状

Understanding Circumstances of IoT Malware Infection by Large-scale Darknet Monitoring

笠間貴弘

笠間貴弘 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所

Takahiro KASAMA, Member (Cybersecurity Research Institute, National Institute of Information and Communications Technology, Koganei-shi, 184-8795 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.468-472 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 IoT(Internet of Things)という言葉が登場し,サーバやパーソナルコンピュータに限らず多種多様な機器がインターネットに接続されることが当たり前の時代が訪れている.その一方で,セキュリティ対策が十分に考慮されていないIoT機器がマルウェアに感染し,サイバー攻撃の踏み台として悪用される事例が多数発生している.本稿では,IoT機器に感染するマルウェアの歴史を振り返りながら,大規模ダークネット観測が捉えた最新のIoT機器のマルウェア感染の状況を紹介する.

キーワード:サイバーセキュリティ,IoTマルウェア,ダークネット観測

1.は じ め に

 コンピュータウイルスという言葉が初めて学術的に用いられた1984年のFred Cohen氏の論文から30年,情報通信技術の発展の歴史は,それに伴い登場する新たなサイバー攻撃の脅威の歴史でもあるとも言える.今日のサイバー攻撃の大半ではマルウェア(コンピュータウイルス,ワーム,ボットやトロイの木馬などの,悪意のある目的で利用されるプログラムの総称)が主要な役割を果たしている.

 特に2000年以降は,ワームと呼ばれる自己拡散型のマルウェアの大規模感染事例が数多く発生した.例えば,2003年に登場したBlasterワームは,Windows XPとWindows 2000に存在したRPC(Remote Procedure Call.リモートのコンピュータ上のプログラムを呼び出すための機能)のぜい弱性(MS03-026)を悪用することで感染を広め,全世界で数百万台にも及ぶ大規模感染を引き起こした.また,2008年に登場したConfickerワーム(別名:Downadup)はWindows OSのサーバサービスのぜい弱性(MS08-067)を悪用して感染を広めるほかにも,USBメモリ経由で感染を広げるなど多種多様な感染機能を持ち,1,000万台を超えるコンピュータが感染したとされる.これらの事例のように,2000年代初期はWindows OSを攻撃対象とするマルウェアが流行した時代であった.しかしその後,Windows OSのセキュリティ向上やセキュリティ対策ソフトの普及などの各種要因によって,Windows OSを対象とした大規模感染事例は徐々に少なくなってきている.

 一方,近年IoTという言葉に表されるように,従来スタンドアローンで動作していた様々な機器が,インターネットにつながった環境で動作するようになっている.その結果として,セキュリティ対策が十分に考慮されていないIoT機器がマルウェアに感染し,サイバー攻撃の踏み台等として悪用される事例が多数発生している.本稿では,IoT普及に伴い発生しているIoT機器の大規模マルウェア感染事例について,我々が実施している大規模ダークネット観測の結果を踏まえながら紹介する.

2.ダークネット観測


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