編集室

　＊　実在する全ての「もの」がサイバー空間を介してつながる“IoT”は少しずつですが，私たちの身近なものとなってきています．気が付かないうちに「人」や「もの」とがつながりあって，人々に快適な環境を提供してくれる．家や職場に着いたら，必要なものがそれぞれ必要な位置にいてくれる．どこにいても快適な環境が出来上がり，癒やされる空間．こんな理想的な社会が目の前まで来ています．

　＊　私が学生の頃，友人と旅行に出掛けるときには念入りに準備をしました．地図を持ち，友人との待合せ場所や時間を綿密に合わせたりと計画に時間を掛けていました．でも今は携帯電話があれば連絡もすぐにつくし，スマートフォンであれば場所も行き先もすぐに分かりますので準備も随分楽になりました．全ての「もの」がつながるIoTの時代には，旅行のためのスケジュールや天気に合わせた行動予定も全ての時間に無駄のない完璧なスケジュールを自動的に作ってくれるようになるでしょう．そうすれば，数倍多くの経験をすることができるかもしれません．

　＊　反面，IoTにより生活の全てが管理下にあり，それが悪用されたときの恐怖を描いた映画も描かれるようになりました．いつの時代も利便性と危険性は隣り合わせにあるということです．このため，今月号の特集「IoTの全て」では，技術的観点，応用サービスの観点での解説とは独立してセキュリティの章を設けました．

　＊　今月号の特集「IoTの全て」は少々大げさなタイトルではありますが名前負けしない内容になるよう，編集にあたっては非常に多くの方々の御指導／御協力を頂きつつ企画を進めてきました．そして，最新のハード・ソフト両面からの通信技術や応用事例，セキュリティ技術，標準化動向と幅広くまとめてお届けできるまたとない機会となりました．今後の情報通信の発展を支える上でなくてはならない“IoT”のエッセンスについて，幅広く皆様に楽しんで頂きたいと思っています．是非この特集を御一読下さい．

（編集特別幹事　菊間一宏）