小特集 4-1 交通・物流機械の自動運転

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Vol.102 No.6 (2019/6) 目次へ

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4. 車だけではない自動運転の未来

小特集4-1

交通・物流機械の自動運転

Automated Driving of Transportation and Logistics

須田義大

須田義大 東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センター

Yoshihiro SUDA, Nonmember (Institute of Industrial Science, The University of Tokyo, Tokyo, 153-8505 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.6 pp.534-537 2019年6月

©電子情報通信学会2019,©2019一般社団法人日本機械学会

1.は じ め に

 近年,自動車の自動運転の実現に向けた取組みに社会が大きな関心を寄せるようになってきた.自動化の技術は,古くはメカニカルな自動制御に始まり,センシング技術,ITの進展,更にはビッグデータを活用したAIの進化といった,要素技術の進展とともに,実現に向けて急速に進展してきた.自動車では,安全に走行させるためには,環境認識や外乱への対応を,瞬時に行う必要があるため,他の交通システムに比べて実用化が遅れていたが,近年の進展により,一部の実用化が始まっている.

 一方,地上を走行する車両としては,専用軌道を有する鉄道では,自動運転は多くの路線で既に実用化しており,ゴムタイヤ式の中量輸送システム(いわゆる新交通システム)においては,無人運転も実用化している.航空機におけるオートパイロットの歴史も古く,船舶における自動操縦も実用域に達している.本稿では,自動運転を実現させるためのエコシステムという観点から,技術的な課題,社会的な課題,そして自動化がもたらす社会的な意義について概観したい.

2.自動車の自動運転

 自動車の運転は,人間による認知・判断・操作という一連の作業を自動化することである.操作については,一定速度で走行するというクルーズコントロール(CC)などはいち早く自動化されている.アダプティブクルーズコントロール(ACC)は,前方車が存在しなければ目標速度を自動的に維持し続けるCCとして機能し,前方車に追い付くと自動的に速度と車間距離を調整する.このようなACCによる前後方向の運転自動化のように一つだけの機能の自動化をレベル1と定義される.環境の認識と,それに対する適切な判断には,高度なセンサや知能が必要である.その自動化の段階を5段階にレベル分けするSAE(Society of Automated Engineers)InternationalのJ3016(2016年9月)の定義が,現在,ほぼ国際標準となっており,我が国においても採用されている(表1).


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