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◆今月のニュース解説
±1,000Aの電流計測レンジで10mAの精度を有するダイヤモンド量子センサを世界で初めて開発
――電気自動車によるカーボンニュートラル化を更に加速――
World’s First Diamond Quantum Sensor with 10mA Accuracy in a Current Measurement Range of ±1,000A
――電気自動車によるカーボンニュートラル化を更に加速――
東京工業大学の研究グループは矢崎総業株式会社らの文部科学省光・量子飛躍フラッグシップ(Q-LEAP)のグループと共同で,ダイヤモンド量子センサを用いて±1,000Aの広い電流計測レンジにわたって,大電流から微小電流まで広い範囲で,精度10mAという高精度を実現する電流センサを世界で初めて開発した.これは現在電気自動車(EV)に搭載されている標準的なバッテリーの電流センサの精度(1A)に比べて100倍の性能である.
図1(a)にEVにおける電池モジュール及び電流センサ実装イメージを示す.EV用電池においては,過充電または過放電による電池の劣化や発火を防止するために,実際の走行距離に寄与しない安全マージンが設けられている(図1(b)).現状の(ホール式など)電流センサを用いた充放電電流積算による電池の充電率(SOC: State of Charge)の推定誤差は10%程度と大きくこれが安全マージンを小さくできない原因となっている.図1(c)は自動車の燃費試験の国際標準であるWLTC走行モードでの充放電電流パターンであるが,充放電電流が平均では10A程度であるにもかかわらず,最大時には数百Aにも達するため,広い電流レンジを持ちながら,高精度の充放電電流積算が可能な電流センサが求められる.広い電流レンジを持ちながらセンサの精度を向上できれば,安全マージンを減らして,図1(d)に示すように,走行距離を増加させることや,同じ走行距離であれば搭載電池容量を削減することができる.SOC推定誤差を1%に抑えるためには全電流レンジにわたって10mAオーダの精度を備えた電流センサが必要になる.
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