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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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吉野 孝 正員 和歌山大学システム工学部システム工学科

Takashi YOSHINO, Member (Faculty of Systems Engineering, Wakayama University, Wakayama-shi, 640-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1094 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.研 専 の 設 立

 異文化コラボレーション(IC)特別研専は,2005年に発足した.初代の委員長は石田亨先生(京都大学)で,2代目は片桐恭弘先生(公立はこだて未来大学)である.本研専は,京都大学とNICT(情報通信研究機構)が中心となって始まった言語グリッドプロジェクト(http://langrid.org)と連動する形で発足した.言語グリッドプロジェクトは,辞書や機械翻訳などの言語資源を言語サービスとして共有可能にするインターネット上の多言語サービス基盤の構築を目指したプロジェクトである.

2.研 専 の 目 的

 インターネットをはじめとする情報通信技術の急速な普及により,世界中のあらゆる情報が,世界中の人々の間で共有可能になってきたと思われていた.しかし,実際には,極めて高い言語の壁や文化の壁が存在していた.人々の交流は,実空間だけでなくインターネット上でも活発に行われてきた.情報通信技術の普及は,新たなコミュニケーションやコラボレーションの摩擦を引き起こす結果となってきている.

 本研専は,このような目的に合わせたコミュニケーションやコラボレーションを支える幅広い研究領域に関する活動の促進を目指して設立された.対象とする研究領域としては,グループウェア,自然言語処理,ソフトウェア工学,メディア,エージェント,社会情報学,社会学,社会心理学,コミュニケーション学,人工知能,音声処理などがある.本研専は,これらの,従来は出会う機会が少ない分野の研究者間の交流を促進することにより,新しい分野である異文化コラボレーションの問題点に関する分析や新しい支援形態の検討,今後の異文化コラボレーションに関して,研究発表及び討論を促す機会の提供を目指した.

3.これまでの活動

 本研専は,2006年度から人工知能と知識処理研専との協賛という形で研究会を開催してきた.2008年度から2016年度までの開催日程,開催場所,発表件数を示す.発表件数の少ない年もあるが,約10年の間,継続して発表が集まっており,異文化コラボレーションに関する新たな取組みが次々と行われている.

2009.2.27. 関西学院大東京丸の内キャンパス 19件

2010.2.22~23. 京大吉田キャンパス 13件

2011.2.28. 関西学院大梅田キャンパス 15件

2011.10.20. 阪電通大寝屋川キャンパス 8件

2013.2.18. 阪電通大寝屋川キャンパス 20件

2014.2.26. 阪電通大寝屋川キャンパス 10件

2015.2.23. 京大吉田キャンパス 5件

2016.2.29. 京大吉田キャンパス 13件

2017.2.27. 京大吉田キャンパス 7件

4.今後について

 2020年の東京オリンピック開催決定や外国人観光客の激増など,異文化コラボレーション及びコミュニケーションに関する研究の必要性は高い.今後も継続し,研究分野の発展に努めたい.

(平成29年5月31日受付 平成29年6月27日最終受付)

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(よし)() (たかし) (正員)  1992鹿児島大・工・電子卒.1994同大学院工学研究科電気工学専攻修士課程了.現在,和歌山大・システム工・教授.博士(情報科学).コミュニケーション支援の研究に従事.


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