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サービス・製造プロセス分析のための人間センシングと可視化
小特集 1.
サービス・製造プロセス分析のための行動センシング技術
Human Behavior Sensing Technologies for Analyzing Service and Manufacturing Processes
abstract
「現場のラボ化」は,行動センシングや作業プロセス分析を用いた仮説・検証をできるだけ厳密に繰り返し行うといった従来はラボでしかできなかった方法論を,実際の現場に持ち込もうとするものである.本稿では,行動センシング技術として近年注目が集まっているPDR(Pedestrian Dead Reckoning)やハイブリッド測位技術と,それらのサービス・製造プロセス分析への応用について紹介する.
キーワード:行動センシング,サービスプロセス分析,G空間IoT,PDR,現場のラボ化,改善支援
実世界の情報が網羅的に取得されるようになるということがIoT(Internet of Things)のインパクトの一つであるが,その中でも位置や地理空間についての情報,いわゆるG空間情報は,様々な応用分野にとって基盤的な価値を持つ.G空間情報の取得や活用のための技術や概念として,屋内外測位や実世界モデリング(三次元モデリングやSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を含む),MAR(MR(複合現実)及びAR(拡張現実))等がある.筆者らはそれを「G空間コンピューティング」と呼ぶとともに,そのIoTとの境界領域を「G空間IoT」と呼んでいる.
G空間IoTの有望な適用分野としてサービス工学分野がある(1).サービス現場で顧客や従業員の行動や環境・場を計測し,現状把握や改善活動支援,改善案や新サービスの事前評価等に活用するといった「測って図る」という考え方は,サービス工学の根幹となるものであるが,IoT,インダストリー4.0,若しくはソサイエティ5.0社会の到来により,必要不可欠かつごく当たり前になっていくと考えられる.
「測って図る」には,「現場のラボ化」と「ラボの現場化」という二通りの実現方法があると考えられる(図1).なお,本稿ではこれ以上は触れないが,「ラボの現場化」は,再現性の高いバーチャル環境の構築・提供等により,実現場とのかい離を可能な限り小さくすることで,ラボでの実験(仮説・検証)で得られる知見と,現場で実際に得られるはずの知見とを近付けていこうとするものである(2).
一方,「現場のラボ化」は,仮説・検証を繰り返し行うといった従来はラボでしかできなかった方法論を,実際の現場に持ち込もうとするものである.このようなアプローチは,G空間IoTをはじめとする各IoT技術で‘ひと’や‘もの’,環境を計測,モデル化し,実際のサービス現場を網羅的・継続的に把握すること,並びに情報推薦,作業支援,分析結果の可視化等により現場に「介入」することにより初めて実現することができるようになる.
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