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Vol.100 No.4 (2017/4) 目次へ

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◆今月のニュース解説

 超伝導磁束量子ビットを用いた巨視的実在性問題の実験的検証に成功

 Experimental Demonstration of Macroscopic Realism Breaking Using a Superconducting Flux Qubit

超伝導磁束量子ビットを用いた巨視的実在性問題の実験的検証に成功

 日本電信電話株式会社は,米国イリノイ大学と共同で,超伝導磁束量子ビットを用いることで巨視的な数の電子の流れである電流の状態も量子力学に従うことを示す電流状態の「非実在性」を実験的に確認することに成功した.

 量子力学に従う微視的な粒子は日常の世界での常識に反する奇妙な振舞いを示す.例えば電子を1個ずつ二重スリットに通しスクリーンに当てるとスクリーン上に電子の位置を記録できる.始めはランダムに見える電子の位置も,測定を繰り返すに連れて干渉じまを示す(図1(a)).通常,干渉じまは左右のスリットを通った波が重なり合わさって生じる.電子が1個ずつでも干渉じまが現れることは,電子1個が分割できないにもかかわらず右スリットを通った状態と左スリットを通った状態が同時に実現して重ね合わさっている(量子重ね合わせ)と理解されている.このとき,電子がスリット通過後にどちらのスリットを通過したかを知ることができる測定を行うと,干渉じまは消失する.これは,観測以前にはどちらのスリットを通過したとは言えない量子重ね合わせ状態が観測によって初めてどちらのスリットを通った状態かが確定したことを意味する.このように観測以前には状態が確定しておらず観測によって初めて状態が確定する性質は「非実在性」と呼ばれ量子力学に従う微視的な系で現れることが知られている.

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