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2. 5Gで開く新たなアプリケーション
特集2-5
5Gが加速する次世代近接無線アプリケーション
5G Accelerates the High Rate Close Proximity Wireless Application
abstract
5G時代の到来により,従来の基幹網では処理することが困難であった大容量コンテンツを様々な拠点へ自由に配信することが可能になる.それにより,高品質な映像・音声などのデータが,ユーザの正にすぐそこにまで届けられているという社会が実現する.これらのデータを,最終的にユーザの端末に伝達するための有望な技術として,ミリ波を用いた高速近接無線技術の規格化や研究・開発が進められている.今回,2017年に規格化が完了したミリ波高速近接無線,IEEE 802.15.3eの概要とその応用例,次世代TransferJet,TransferJet Xの実現に向けた取組みについて紹介する.
キーワード:ミリ波無線技術,P2P, IEEE 802.15.3e, TransferJet X
近年,ユーザがモバイル端末を通じて4K映像やハイレゾ音源といった,高品質なコンテンツを楽しむ機会が増加している.5G時代の到来によりネットワークを支える基幹網が強化され,様々な拠点へ大容量のデータを届けるインフラストラクチャが実現されることで,このような高品質・大容量のデータを,ネットワークを通じてユーザの持つモバイル端末へ配信するようなサービスがますます普及していくことが想定される.
このようなサービスにおいて,最終的にユーザの持つモバイル端末へデータを配信する際に,広域なモバイルネットワークを直接利用することも考えられるが,現在広く普及している無線LANによるデータオフローディング(用語)のように,無線LAN若しくは無線Personal Area Network(PAN)等の局地的な無線通信方式を相補的に用いることによって,よりユーザのニーズ,場所的な制約,実現したいサービス形態に合わせた展開が可能となる.コンテンツサイズの指数的な増加に合わせ,モバイル端末がサポートする無線通信方式においても,スループットの向上や,サービスに合わせたプロトコルの改良に対する要求が高まっている.
これまでも,端末がサポートするモバイルネットワークや無線LAN等の無線通信方式においては,帯域の拡大,高い変調方式,高効率な誤り訂正方式及びMIMOなどの導入によりそのスループットの増加が図られてきている.
例えば,表1は2.4/5GHz帯の電波を用いる無線LANの規格におけるそれぞれの規格の帯域や変調方式等を比較したものである.最新の802.11acにおいては,帯域は当初の8倍となる160MHzに増大し,変調方式においてもシンボル当り8bitの伝送を行う256QAMなど高度な変調方式が採用されるに至っている.
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