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グラフアルゴリズムの最先端
小特集 5.
メンバー間の距離が小さいコミュニティの発見
Finding a Community with Small Diameter
abstract
人を頂点,友人関係を辺で表すことにより,人的ネットワークに対応するグラフ構造を考える.このようなグラフ構造に対して,緊密な関係にある人々のグループの中で大きなものを求めたい.緊密さとして様々な条件を考え得るが,グループに属する人々はお互いに直接の友人である,あるいは例えば友人の友人のように友人関係をたどると距離が小さい(以下)という二つの条件に対応するクリーク問題と-クラブ問題が知られている.本稿では近似アルゴリズムの観点から,これらの二つの問題,特に-クラブ問題に関する研究動向について紹介する.
キーワード:クリーク,クラブ,近似下界,近似アルゴリズム
人を頂点,友人関係を辺で表したグラフ構造を考える.図1がその例で,例えば,さんとさんやさんとさんは直接の友人であるが,さんとさんは直接の友人ではないことを表している.ソーシャルネットワークサービスの利用者が持つ友人関係から,このようなグラフ構造が定義できる.今,何らかの理由で(例:ターゲット広告),友人関係が緊密なグループ(頂点集合の部分集合,簡単に頂点部分集合と呼ぶ)のうちできるだけ大きなものを発見したい.緊密であることの定義方法はいろいろあると思うが,その頂点部分集合に属している人たちはお互いに直接の友人であると定義してみる.図1では,頂点部分集合が,そのような構造を持っているもののうち最大のものである.この構造はクリークと呼ばれ,最大のクリークを求めることを目的とするクリーク問題は理論計算機科学では超有名である.
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