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次世代を切り開く情報通信エネルギー技術
4.様々な情報通信エネルギー技術の動向
小特集 4-2
再生可能エネルギーによる発電技術の利活用状況
Trends of Power Generation Technology by Renewable Energy
abstract
本稿では,再生可能エネルギーを用いた発電方式である太陽光発電,風力発電,これら発電装置,蓄電池を組み合わせたスマートグリッドに関するこれまでの技術進展と課題について述べる.更に,現在の情報化社会を支えているデータセンターなどにおける省エネ化技術の進展と,再生可能エネルギーの活用技術及び技術的な課題について解説する.
キーワード:再生可能エネルギー,スマートグリッド,データセンター
我が国では,2012年7月に再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)が開始され,この効果により,太陽光発電を主軸として,風力発電などの導入が活発化してきた.特に再生可能エネルギーによる発電は,出力の変動問題や電力品質問題などがあるため,系統への蓄電装置の導入が検討されている.
一方,地球温暖化防止のため2016年11月にパリ協定では,産業革命以降の気温上昇を2度以内に抑えることを提言している.このパリ協定の後押しにより,再生可能エネルギーは,今後も大量に導入されるとともに発電コストの低下のための技術開発が行われるものと思われる(1).このため,再生可能エネルギーによる発電装置と蓄電装置から成る次世代電力送電網(スマートグリッド)を用いて,再生可能エネルギーの導入拡大が期待されている.
このスマートグリッドについては,電力消費の時間帯を別の時間に移行させるピークシフトによる電力設備の有効活用や需要家の省エネ効果,停電対策などの効果も期待されている.このような状況の中で,通信情報技術分野においても省エネルギー対策が要求されつつある.そこで,一例としてデータセンターについて注目する.東京都内にあるデータセンターの消費電力は,都内の電力量の1割を占めているという報告があり,電力消費量の上位を占める業種である(2).データセンターにおける省エネ化は,サーバ発熱の低減,空調設備・機器の改善などを主体に実施しているが,電力供給に関しても提案がなされている.具体的には,これまでの交流給電から直流給電,再生可能エネルギーや信頼性向上に使用される無停電電源装置における蓄電装置の利活用などの技術開発が検討されている.
本稿では,再生可能エネルギーを利活用しているスマートグリッド,データセンターなどにおける電力供給について考えてみた.
国内における再生可能エネルギーによる発電装置について注目してみる.
図1に再生可能エネルギーなどによる設備容量の推移を示す.同図に示すように,2003年からは,電力会社に対して一定割合の再エネ導入を義務付ける「再生可能エネルギー導入量割当制度(RPS制度)」が実施された.このときの年平均伸び率は5%であり,2009年から2012年における「余剰電力買取制度」の実施時は,年平均伸び率が9%であった.しかし,FIT制度実施後,年平均伸び率は29%となっており,設備容量も2017年3月時点で約3,539万kWとなっている.また,2015年に政府が策定した「エネルギーミックス」では,2030年における電源構成のうち,22~24%が再エネとしていることから,太陽光発電,風力発電,バイオマス発電,地熱発電に対しての期待が高く,今後も増加するものと予想される.
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