編集室

　＊　今月の特集「働き方改革とそれを支えるICT」はいかがでしたでしょうか？　働き方改革は，皆が重要性を認識しているものの，いざ実行となると様々な課題に直面するなかなか難しいテーマです．実現のためには技術だけでなく，政治や法律，意識改革など多面的な要素が必要であることから，WG・D（情報・システム分野）とWG・E（分野横断型）の合同特集として企画致しました．まず，WG・Eが第1章として「働き方改革に対する取組み」を担当し，専門分野や組織での立場の異なる8名の方々に幅広い視点で執筆頂きました．2030年の労働環境を想定した取組みや，シンガポールやドイツの事例など，大変興味深い記事がそろいました．御自身の所属する機関の課題の分析や，現在の取組み促進のヒントになるのではないでしょうか？　続いて，WG・Dが第2章として「働き方改革を支えるICT」を担当しました．最初に，2010年からICT基盤による働き方改革を実践している富士通で推進をけん引している松本国一氏に，ICTを活用した働き方の俯瞰と推進する際のポイントや取組み事例を紹介頂きました．“改革は「ICT部門」だけでは難しく，改革を行う方向性・目的の明確化・見える化と合わせ，「ICT部門」「現場部門」「制度統制部門」「経営部門」が一体となり施策の合意・実行を行う必要がある”という長年の経験からのメッセージは大変説得力があります．続いて，働き方改革に活用可能な個別のICTについて，各分野の専門家の方々に技術動向や研究事例，ケーススタディ，将来展望などを執筆頂きました．これら11編の記事は働き方改革への活用だけでなく，各技術の最新動向も把握できますので，是非御一読頂ければと思います．

　＊　最後になりましたが，2016年6月にWG・Dの編集特別幹事を拝命してから2年間，編集委員の皆様や他WGの皆様と協力しながら創立100周年記念特集など貴重な経験をさせて頂き，ありがとうございました．6月に退任致しますので，今後は，一読者として毎号楽しみに致します．

（編集特別幹事　小野智弘）