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東北大学大学院理学研究科,同大学材料科学高等研究所の研究チームは,鉄とセレンから成る薄膜において,質量がゼロのように振る舞う「ディラック電子」を発見した.この発見は高速・低消費電力で動作するナノデバイスの実現につながる可能性がある.
近年,層状物質を原子数個程度の薄さに加工した原子層薄膜において革新的な性質が次々と発見され,注目を集めている.特に話題となっている物質の一つに鉄セレン(FeSe)がある.バルクのFeSe(図1左)は-265℃以下の極低温でのみ超伝導となるのに対して,それを極限(原子3個分の厚さ,約0.5nm)まで薄くすると(図1右上段),-265℃をはるかに超えて,-210℃付近で高温超伝導を示すことが報告されている.液体窒素温度(-196℃)以上での超伝導の可能性を指摘する実験結果もあり,新しい高温超伝導物質として大きな期待を集めている.この発見を契機にFeSe薄膜の研究が世界的規模で進められているものの,物性を制御・探索する上で鍵となるキャリヤ量の調整技術が確立していないため,超伝導以外の物性は明らかになっていなかった.
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