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音声言語理解のこれまでとこれから
小特集 1.
音声言語理解技術の概要と今後の展望
Overview and Outlook of Spoken Language Understanding Technology
abstract
本稿では,音声言語理解技術とはどのようなものかと,一般的にどのような要素技術から成っているかを述べるとともに,現在までにどのように発展してきたかについて,概略を述べる.音声言語理解は,音声を単語列に変換する音声認識技術と,単語列をユーザの意図を表す表現に変換する言語理解技術を中心とするが,その他にも様々な技術が統合されている.本稿では更に,現状の音声言語理解技術では解決されていない課題を列挙する.
キーワード:音声言語理解,音声認識,音声対話,音声アシスタント
音声言語理解とは,人が発話した音声を機械が理解できる表現に変換する技術であり,音声を用いた様々なサービスや製品に応用されている.例えば,スマートフォン上の音声アシスタントやいわゆるAIスピーカなどは,音声による命令を聞き取って,音楽を流したり,アラームを設定したり,ニュースを読み上げたりすることができる.また,音声で操作できるカーナビゲーションシステムは,音声で指定された場所や施設を検索して,目的地として設定することができる.
音声言語理解の結果は,多くの場合フレームと呼ばれるデータ構造を用いて表現される.このフレームから,データベースにアクセスするクエリや機器を操作するコマンドが生成される.例えば,ユーザが「ジャズを聴きたい」と言えば,
[ユーザ意図タイプ=音楽再生,
ジャンル=ジャズ]
のようなフレームが生成され,これからコマンドが作られて実行される.ユーザ意図タイプ以外の情報(例ではジャンル)は属性やスロットと呼ばれる.どのようなユーザ意図タイプを用意するかや,ユーザ意図タイプに応じてどのような属性が必要かは,想定するシステムに応じて決めておく必要がある.
ユーザが一つ発話を行うたびにコマンドを実行したりデータベースを検索して応答を返したりするような,いわゆる一問一答型のシステムの場合は,一発話の理解結果がそのままデータベース検索式やコマンドを生成するのに用いられる.これに対し,複数のやりとり(ターン)を行う音声対話システムの場合には,やりとりの中で徐々にフレームが作られていき,最終的に得られたフレームの内容が用いられる.例えば,
ユーザ:小田原までの特急券を買いたい
システム:新宿からの御乗車でよいですか?
ユーザ:はい
のようなやりとりから,
[ユーザ意図タイプ=特急券購入,
乗車駅=新宿
降車駅=小田原]
のような理解結果が得られ,これを基にデータベースが検索されて,料金の案内などが行われる.
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