特集 3-7 カメラシステムを中心とした中小企業のIoT

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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3. IoTの活用分野と応用例

特集3-7

カメラシステムを中心とした中小企業のIoT

Working Site Recording System for IoT

小林靖典

小林靖典 (株)小林製作所

Yasunori KOBAYASHI, Nonmember (Kobayashi Manufacture Co., Ltd., Hakusan-shi, 924-0855 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.453-457 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 中小企業では人材育成が最重要である.人を育てるのは人,カメラシステムは人が人を育てる.また,中小企業は新しい生産技術や生産方法を取り入れ生産性の向上を目指さなければならない.その際,これらのいろいろなノウハウを会社の共有情報として画像でサーバに保有できる.生産技術や生産方法が変化しても人の行う作業は,画像で記録し続ける同一システムで記録活用可能である.このように当社は生産管理とカメラシステムとロボットシステムを画像データで融合し中小企業のIoTを実践している.

キーワード:カイゼンカメラ,生産管理,カメラシステム,生産性向上,働き方改革

1.初  め  に

 (株)小林製作所(従業員141名,資本金1,000万円)は石川県白山市に位置し,自動化された生産設備とITや職人の技術力を融合させることを目指して,主に半導体製造装置や工作機械向けの部品を製作している精密板金加工メーカである.各時代のコンピュータの技術と能力に合わせてシステムを進化させてきた.本稿では,このシステムの根幹を成す生産システムのIoT,カメラシステムのIoT,ロボットシステムのIoTについて解説し,各IoTにより得られた業務の改善例を紹介する.

2.生産システムのIoT

 生産システムのIoT技術として,全ての製造する製品や移動台車にバーコードを取り付け,全ての作業を工程入力し,全ての図面をサーバに登録し,携帯端末でも進捗管理を行っている.サーバ上の進捗データは工場の現状と同期しており,このようなコンピュータ内の同期されたデータを当社ではバーチャルファクトリーと呼ぶ.バーチャルファクトリーでは全製品の原価把握はもちろん,製品の場所,作業履歴を把握でき,リアルタイムで閲覧できる.このバーチャルファクトリーを拡張・活用し,日々業務改善と生産性を向上させた.

3.カメラシステムのIoT

 IoTシステムとは様々なデータを収集分析し,人間が理解できるように変換し効率化するシステムである.当社カメラシステムのIoTとは記録画像から人が読み取れる様々なデータを分析し,効率化できるシステムで,記録画像は変換しなくても人間の視覚で分かりやすく理解できるものである.そして,記録画像の検索性を高めることができると,全く違う次元の活用方法が生まれた.工場内のいろいろなこと(どうして,どのように,どう作られているか,どう作業したかなど)が分かるようになる.予測できない問題を理解できるインフラシステムとして活用している.それは,あたかも工場内がGoogle検索できるようなイメージである.

 当社のシステムは地元の新聞やTVの注目するところとなり,それを知った客先からも商品化を希望する声が多かったため,2011年にカメラシステムをパッケージ化して,カイゼンカメラSopak-C(ソパックシー)として外販を開始した.それ以来,国内外の各種製造会社やサービス会社などに広く使われ,効果を上げている.

3.1 システムの特徴(図1)


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