特集 5-1 W3C WoT(Web of Things)の標準化

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5. IoTの標準化動向

特集5-1

W3C WoT(Web of Things)の標準化

Standardization for the W3C WoT(Web of Things)

芦村和幸

芦村和幸 正員 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科

Kazuyuki ASHIMURA, Member (Graduate School of Media and Governance, Keio Universiy, Fujisawa-shi, 252-0882 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.473-477 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 Webで扱うコンテンツは時代とともに多様化し,マルチメディアかつインタラクティブなものへの需要が飛躍的に増加した.その結果,Webコンテンツは単なる「Webページ」から「Webアプリケーション」へと進化を遂げ,近年ではパソコンやスマートフォンにとどまらず,TV,電子書籍,コネクテッドカー,IoT(Internet of Things)等,様々な環境や産業領域へと応用されている.本稿では,Web技術の様々な産業応用の代表的な事例としてWoT(Web of Things)を取り上げつつ,その特徴及び最新の標準化状況について述べる.

キーワード:Web標準,W3C, WoT, Thing Description(TD), PlugFest

1.は じ め に

 インターネットの開発から50年,そしてインターネット上で構築されたアプリケーション体系であるWebの開発から30年がたとうとしている.Webは,1989年に欧州原子核研究機構(CERN)(1)においてTim Berners-Lee(2)らによって開発が開始されたが,情報共有基盤として世界中で共通的に利用されるがゆえに,その相互運用性,国際化,入出力方法の多様性及び利用者への親和性を保証する必要があり,そのため,W3C(World Wide Web Consortium)(3)による国際的な技術標準化が継続して行われている(4)

 その一方で,時代とともにWebで扱うコンテンツは多様化し,マルチメディア対応かつインタラクティブなコンテンツの需要が飛躍的に増加した結果,Webコンテンツは単なる「Webページ」から「Webアプリケーション」へと進化を遂げ,近年,HTML5(5)をはじめとするWeb技術は,パソコンやスマートフォンのみならず,ディジタルTV等の各種デバイスにおけるWebアプリケーション活用のプラットホームとして利用が広がるとともに,その応用分野はメディア配信(TV),電子書籍,コネクテッドカー等多岐にわたっている.更に,新しいWeb標準として,2015年から「Web of Things(WoT; WebによるIoTの相互接続)」に関する議論も始まっており,Webは「ブラウザベースのWebアプリケーションのためのプラットホーム」であるのみならず,様々なIoTデバイスやアプリケーション(Webアプリケーション及びネイティブアプリケーション)を連携させるためのデータ流通プラットホームとなりつつある.

 そこで,本稿では,Web技術の様々な産業応用の代表事例としてWoTを取り上げた上で,その特徴,最新の標準化状況及び今後の展望について述べる.

2.WoT(Web of Things)の標準化

2.1 WoT: WebによるIoTの相互接続

 IoT(Internet of Things)という言葉が使われ始めてから20年近くが経過し,近年では,様々な産業領域(スマートホーム,ウェアラブル,ヘルスケア,電力マネジメント,スマートシティ,工場等)において様々な‘もの’(デバイス,センサ等)がインターネットにつながり,各種アプリケーションにより自動的に制御され,または高度なユーザインタフェースにより遠隔制御されるようになってきている.しかしながら,IoTのための実装方法や標準規格はベンダや産業領域ごとに異なっているため,図1に示すとおり,様々なIoTフレームワークが乱立し相互接続が難しい状況にある(IoTのサイロ化).


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