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2020年10月現在,COVID-19は世界的に猛威を振るっています.確定症例数は3,700万人,死亡者数は100万人を超えました.また,この経済的影響は破壊的と言われており,2020年第2四半期のGDPについて,米国では年率31.4%,日本では年率27.8%減少が報告されるなど,第二次世界大戦後,最大のGDP減少が予想されています.
この未曾有の事態に際し,世界中の医学,生物学,情報学,工学,環境学,経済学等の様々な分野の研究者たちが立ち上がり,感染対策に資するべく,いろいろな課題に取り組んでいます.それらの成果は,Science,Nature等の世界的に権威のある総合学術雑誌,NEJM,JAMA,Lancet等の世界的に評価の高い医学雑誌をはじめ,幅広い分野の論文誌に多数報告されています.しかし,現時点では少なくとも日本からの報告は少ないように思います.
なぜ日本からの報告は少ないのでしょうか?
米国を見れば,例えば,2020年3月にホワイトハウス科学技術政策局からの要請で,AIを使用してCOVID-19に関する重要な知見を発見することを目的として,Allen Institute for AI,Chan Zuckerberg Initiative,Georgetown University’s Center for Security and Emerging Technology,Microsoft,the National Library of Medicine at the National Institutes of Healthの研究者たちは,COVID-19やSARS-CoV-2に関する学術文献のオープンデータベース,COVID-19 Open Research Dataset(CORD-19)をリリースしました.このCORD-19は言語処理の多くの研究者たちが活用しています.日本でも各大学や各研究所において,それぞれにCOVID-19対応研究の取組みが行われていたと思いますが,米国のような大規模かつ即時的な機動力はなかったように思います.
2020年9月に入ると,JST CREST「異分野融合による新型コロナウイルスをはじめとした感染症との共生に資する技術基盤の創生」の提案募集のお知らせなど,幾つかのCOVID-19対応研究を加速する試みが目に付くようになりました.日本の研究はゆっくり立ち上がる傾向があるのかもしれませんが,研究の機動力については今一度,見直すべきではないでしょうか.
本会では,2020年6月に会長声明,「「コロナ後」の新たな電子情報通信技術の発展に向けて」が発表されました.その中では情報と通信をつかさどる電子情報通信学会は「コロナ後」に重要な使命があり,世の中のために最先端の情報通信技術を開発していく決意が述べられています.また,会誌では2020年12月号から「ウィズコロナ緊急連載:新たな生活様式の将来像と情報通信技術」の連載が始まります.本会が「コロナ後」を力強く支えていくことを期待致します.
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