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Vol.104 No.11 (2021/11) 目次へ

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 * かつて見たテレビ番組で深く記憶に残っているものに,「電子立国 日本の自叙伝」があります.番組では,固体物理学における基礎研究が花開き,トランジスタ,集積回路の発明,そして電卓やマイコンなどの登場につながる,半導体技術の歴史が描かれています.更にこの番組には「新電子立国」という続編があり,こちらは,ビルゲイツやスティーブジョブズらの活躍など,コンピュータソフトウェアの発展と今日の情報技術の基盤がいかにして築かれたかが描かれています.放送当時まだ10代だった私は,この両番組に大変感銘を受けました.後日発刊された書籍版も購入して精読したのを覚えています.本番組は,私が大学で電子情報通信分野の学問を学びたいと思った要因の一つです.

 * 本11月号では,量子機械学習を特集しています.量子計算に関しては,2019年にNature誌においてビッグニュースが発表されています.古典コンピュータの性能をしのぐ量子コンピュータの開発が成功したというものです.長らく理論に基づく予測だったものが,ついに実証されました.特定の計算に限るという条件付きではありましたが,人類がこれまでより桁違いに強力な計算資源を手に入れようとしている事実は間違いなさそうです.

 * 機械学習は,今日のAI技術を支える情報科学の最先端技術です.量子計算とAI技術の組合せが,どんな新しい未来を作り出していくのか,その期待は膨らむばかりです.現在,この分野は次世代の産業を担う有望株として多額の投資を受け,多くの技術者・研究者らがその発展をめぐってしのぎを削っています.

 * これらに鑑みると,今私たちは「量子」立国のドキュメンタリーのさなかにいると言えるかもしれません.本特集の読者の中から,関連する研究分野への興味を深め,将来ドキュメンタリーの軸となる新たなスーパースターが登場するなどということがあれば,記事を執筆頂いた先生方,編集関係者にとってこれ以上のない喜びとなることでしょう.

(編集特別幹事 澤畠康仁) 


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