特集 シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向 特集編集にあたって

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Vol.105 No.11 (2022/11) 目次へ

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特集 シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向

特集編集にあたって

編集チームリーダー 竹中 充

 シリコンフォトニクスは,半導体であるシリコン基板上に光集積回路を作製する技術体系であり,シリコン電子集積回路の微細化の進展に伴って,2000年代以降大きく進展した.超小形光素子が作製可能であり,シリコンエレクトロニクスで培われた高度な製造技術が活用できるなどの優れた点により,2010年代には多くの技術者・研究者がシリコンフォトニクスの研究開発に携わるようになった.2016年頃からデータセンター内の光インタコネクションでの実用化が始まるなど,今では大規模光集積回路の標準プラットホームとして広く活用されるようになっている.

 我が国においても2009年から最先端研究開発支援プログラム(Firstプログラム)において,シリコンフォトニクスの研究開発が国家プロジェクトとして大規模に開始された.また,2012年から経済産業省/NEDOにより国家プロジェクト「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」が開始され,産学連携による数多くの研究成果に加えて,研究開発成果を基盤としたベンチャー企業(アイオーコア社)が設立されるなど,多くの成果が生まれた.本特集では,2022年3月に終了した「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」プロジェクトにおいて,我が国の総力を結集した10年間にわたるシリコンフォトニクスの最先端の研究成果について総合的に解説して頂くこととなった.

1章:日本におけるシリコンフォトニクスに関係した国家プロジェクトの歩みや今回特集として取り上げた「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」プロジェクトの概要について紹介頂いた.

2章:データセンターで用いられる超小形・大容量波長分割多重チップをシリコンフォトニクス技術を用いて開発した内容について解説頂いた.

3章:デバイス設計・プロセス・検証を連携し,プラットホーム技術として統合した開発結果について解説頂いた.

4章:三次元ポリマー導波路を用いた光電子パッケージ技術について紹介頂いた.

5章:シリコンフォトニクスを用いた波長多重光送受信モジュールでFPGAを接続した省エネルギー・高性能サーバの開発について解説頂いた.

6章:シリコンフォトニクス向け光電子集積インタポーザや光電子融合サーバボードを試作した結果について紹介頂いた.

7章:5Gネットワーク向けの超小形光トランシーバをシリコンフォトニクス技術を用いて開発した内容について解説頂いた.

8章:小形・低消費ディジタルコヒーレントトランシーバ向けのDSPや各種集積型光デバイスの開発内容について紹介頂いた.

9章:「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」プロジェクトで開発された技術を継承する形で設立されたアイオーコア社の事業取組みについて紹介頂いた.

10章:高温でも安定動作が期待される量子ドットレーザをシリコン基板上に集積する取組みについて紹介頂いた.

11章:シリコンフォトニクス上に作製したフォトニック結晶中のスローライトを利用した小形・高速光変調器の研究成果について解説頂いた.

12章:機械学習を用いたフォトニック結晶設計技術やフォトニック結晶を用いた光制御技術について紹介頂いた.

13章:シリコンフォトニクスプラットホーム上にⅢ-Ⅴ族半導体薄膜や磁性薄膜を集積した機能可変光集積回路について解説頂いた.

14章:GaAs系量子ドット組成混合を用いてシリコンフォトニクスプラットホーム上にレーザや電界吸収変調器をモノリシック集積する研究成果について紹介頂いた.

 最後に,プロジェクト終了間際の多忙の中,本特集の解説を執筆頂いた著者の皆様に深く感謝します.また,本特集の編集に協力頂いた特集編集チーム及び学会事務局の皆様にも,この場を借りて感謝申し上げます.

特集編集チーム

 竹中  充   德田  崇   河島  整   伊藤 友樹   江口 真史   大島 大輔   岸田  亮   藤澤  剛   水谷 浩之   宮田 将司   藪野 正裕 


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