特集 深層学習は情報・システムの研究をどう変えたか 特集編集にあたって

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Vol.105 No.5 (2022/5) 目次へ

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特集
深層学習は情報・システムの研究をどう変えたか

特集編集にあたって

編集チームリーダー 川田亮一

 深層学習技術の登場により,2010年前後から,情報・システム分野の研究開発は大きく変化した.例えば画像認識の分野では,認識精度が飛躍的に向上し,ユーザ認証への活用等,実用化が一気に進展した.本特集では,情報・システム分野の各領域での研究が,深層学習導入前後でどのように進展したか,比較しながら説明する.

 本特集では,全体を第1部の総論から始まる全6部に分け,第2部を画像分野,第3部を音声・自然言語処理分野,第4部を融合分野,第5部をデータ分析分野とし,第6部で今後の展開について論じている.

 まず第1部の総論では,国立情報学研究所の佐藤氏から,深層学習がどのように生まれ広まっていったのかを概観して頂く.

 第2部の画像分野では,画像認識・文字認識・三次元ビジョン・映像符号化の各分野における深層学習のインパクトについて,それぞれ,中部大学の藤吉氏ら,九州大学の内田氏,国立情報学研究所の池畑氏,早稲田大学の甲藤氏に御説明頂く.三次元ビジョンについては,特に三次元陰関数表現/NeRFに関しての議論となる.

 また第3部の音声・自然言語処理分野では,音響信号処理・音声認識・自然言語処理・言語処理システムの各分野について,それぞれ,NTTの木下氏ら,カーネギーメロン大学の渡部氏ら,東工大の岡崎氏,ヤフーの小林氏に解説頂く.音響信号処理に関しては,特に音声強調について,深層学習により何が変わり何が変わらなかったかについて紹介頂いている.

 続いて第4部では,分野融合的な取組みとして,画像・音声生成についてNTTの金子氏に,音声合成についてはGoogleの全氏に,またビジョンと自然言語処理の融合に関してはオムロンサイニックエックスの牛久氏に解説をお願いし,更にロボティクスについて早稲田大学の尾形氏に御説明を頂く.

 第5部のデータ分析分野としては推薦システムとケモインフォマティクスについて取り上げ,それぞれ産業技術総合研究所の神嶌氏と理化学研究所の瀧川氏に御紹介をお願いした.

 最後に第6部の今後の展開として,東京大学の山崎氏とPreferred Networksの丸山氏からそれぞれ,「魅力工学」への展開(広告や商品パッケージデザイン等の新分野への適用)や,深層学習が今後社会・科学に与えていくであろう影響について論じて頂く.

 深層学習は現在の第三次AIブームをけん引しているだけでなく,これまでのAIとは比較にならないほど多くの実用化事例を生んでいる.今後も,深層学習の進展により,多くの今までできなかったことができるようになっていくであろう.読者諸氏にはそのような新たな分野での新たな手法の考案が期待される.本特集がその一助となれば幸いである.

 最後に,御多忙の中,貴重な原稿を御執筆頂いた総勢21名の皆様,編集チームの皆様,学会事務局の皆様に深く感謝申し上げます.

特集編集チーム

 川田 亮一  中田 秀基  櫻井 祐子  市原 英行  江島 將高  工藤 文也  小林 亮博  齊藤翔一郎  﨑村 広人  佐藤 生馬  白石 壮馬  髙橋 桂太  田高 礼子  近野  恵  中井  満  中島  諒  野中 尋史  古本 啓祐  三川 健太  密山 幸男  矢野 敦仁 


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