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筆者は1980年代後半から画像符号化と映像配信の研究開発に従事し,国際標準化の現場にも携わってきた.2010年代半ば以降の深層学習の発展は,画像符号化や映像配信の研究分野にも少なからぬ影響を与えている.例えば2018年から,学習ベースの画像符号化を議論する国際ワークショップCLIC(Challenge on Learned Image Compression)が毎年開催されており,また,国際標準化でも深層学習の符号化応用に関する活動が開始されている.本稿では,深層学習が画像符号化・映像配信分野に与えた影響や今後の展望について紹介を行う.
キーワード:画像符号化,生成モデル,画質評価,映像配信
画像符号化の国際標準化は1988年に開始され,静止画像圧縮としてのJPEG(Joint Photographic Experts Group)や動画像圧縮としてのMPEG(Moving Picture Experts Group)が,我々の日常生活に欠かせないものになっている.また,テレビ会議や映像配信の国際標準化も同時期に開始され,昨年来のコロナ禍では,テレワークやオンライン授業の必須ツールとして,一気に一般社会に普及するに至っている.
一方,深層学習の研究開発が加速する中で,2016年頃から深層学習の画像符号化応用の研究開発が開始され,2018年からは,コンペティションスタイルの国際ワークショップCLICが開始されている(1).その圧縮性能は年々更新しており,現時点の静止画像圧縮としての性能は,最新の国際標準方式に匹敵若しくは凌ぐ性能を実現している.図1には,静止画像圧縮の国際標準方式と深層学習による画像符号化の圧縮率の変遷を示す.ここで縦軸はJPEGを100%とする圧縮率を示している.
また,深層学習の通信応用に関する研究開発も加速しており,原画像を必要とするFR(Full Reference)型・原画像を必要としないNR(No Reference)型それぞれの画質評価尺度応用や,映像配信における適応レート制御応用などに関する報告が多数行われている.
本稿では,これらの研究開発動向を紹介するとともに(2)~(7),今後の展望や,筆者らによる研究開発例についても紹介を行う.
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