巻頭言 電子情報通信学会の現状と将来

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Vol.105 No.5 (2022/5) 目次へ

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巻頭言

電子情報通信学会の現状と将来 Present and Future of IEICE監事 西原明法

 電子情報通信学会は,大正6年(1917年)5月1日に,843名の会員から成る「電信電話学会」として発足し,その後「電気通信学会」,「社団法人電子通信学会」,「社団法人電子情報通信学会」,「一般社団法人電子情報通信学会」と名称を変えながら我が国最大の学会として発展し,今年創立105年を迎えます.また国際学会であることを意識して,英語名称にJapanを入れていません.

 会員数は(第二次世界大戦の影響等を除いて)順調に増加し,1993年に4万人を超えましたが,その後減少に転じ,現在も減少傾向が続いています.特に企業に所属する会員の減少が激しい状況です.国際学会を標榜していても海外会員数は1割にも満たず,これも減少しています.日本の人口自体が2004年をピークに減少しているため,会員数減少は仕方ないとも言えるかもしれませんが,実は日本の人口減少率より本会の会員数減少率の方が高く,しかも情報通信産業の実質GDPは増加しているのにです.

 会員が学会に入らない,辞めていくのは,学会が会員に価値を提供できていないからと考えられます.会員が学会に求める価値は時代とともに変わっていくと思われますので,学会はそれらを酌み取り,適切な施策を進める必要があります.企画戦略室が主にその任務を負っており,現状分析やそれに基づく提言を行っています.またそれを受けて若手WGが種々の提案をしており,それらが効果を上げるなど,学会トランスフォーメーション(SX)が進むことを期待しています.

 本会は和・英11の論文誌を発行していますが,近年掲載論文数も減少傾向にあります.これは,インパクトファクタの高い海外論文誌に流れていると思われるかもしれませんが,実は日本の研究力自体が低下しており,総論文数が減少しています.本会の論文投稿数は年に3,000弱ですので,全会員の中で論文を投稿する会員は少数派であると言えます.また大会の参加者も(コロナ禍で遠隔参加が可能でも)数千程度です.第一種及び第二種研究会は本会の特徴の一つであり,会員に価値を与えていると思われます.EventInを利用した双方向のコミュニケーションなどを含め,種々の試みがなされていますが,その在り方については,前述の若手WGの提言等があり,更に改善されるでしょう.

 ダイバーシティは,本会のみならず,日本全体で遅れています.本会男女共同参画委員会は2004年に設立され,各種イベントや大会時の託児室設置などの活動を行ってきましたが,過去10年ほどは休眠状態であったため,活動復活が企画されています.選奨やフェロー/シニア会員称号贈呈等の各種活動において,推薦時からダイバーシティを考慮する必要があります.また,規模の大きく異なる支部の運営や活動において,各支部の会員に均等な機会や価値を提供するよう努めねばなりません.

 学会は理事や一部のボランティアのみによって運営されているのではなく,会員は学会に望むことを主張し,理事会に伝えることも重要です.そのことは例えば,会長だより2021.9第1号に石田亨会長が書いています.更に,会誌2021年6月号の植松友彦副会長の巻頭言「学会サービスを使い倒そう」にあるように,本会はWebinarシリーズや生涯学習講座など,多くの会員に役立つサービスを提供しています.是非使い倒して,更なる要望等の声を上げて下さい.また会誌2022年3月号の髙橋篤司基礎・境界ソサイエティ会長の巻頭言「より大きな見返りを」にあるように,会員としての見返りを主張することで,本会の将来に貢献することができます.会員各位の御協力をお願いします.


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