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* 個人的な話で恐縮ですが,大学(学部)を卒業して早30年近くが過ぎました.およそ30年前といえば,NCSA MosaicやNetscape NavigatorといったWebブラウザが登場したばかりのインターネット黎明期でした.私も早速研究室のサーバで個人のWebページを作りましたが,当時は個人情報などという考えも浸透しておらず,平気で自らのプライバシーをさらしているような時代でした.
* あれから30年近い時を経て,インターネットは広く一般の人々が使うコミュニケーションツールへと進化しました.新しい技術は,多くの人々が使うようになると当初は想定していなかった使い方(悪用)をする人が現れるのが世の常です.現代では,個人や組織を守るために情報リテラシーが必須のスキルになっただけでなく,そのスキルも新しい機器やサービスが産み出されるたびにアップデートし続ける必要があります.もはやある程度知識のある人にとっても,自前でWebサーバを構築,管理,維持するというのは相当にハードルの高い行為になってしまいました.サーバを立ち上げるとすぐさま世界中からアクセスが始まります.便利で楽しいだけであったツールが危険と表裏一体であることを学ばずしては,安全に活用できないのです.
* 本誌9月号の小特集はドローンです.現在のドローンブームの火付け役となったAR. Droneが発売されたのが2010年ですので,今まさに黎明期を抜け出したばかりと言える技術かもしれません.2013年12月に米Amazonがマルチコプターでの配送サービスの構想を発表して以降,ドローンには多くの可能性が見いだされました.本小特集でも,それらの可能性の一端を垣間見ることができます.ドローンは,個人で気軽に遊べる小形のものがあるとはいえ,さすがにインターネットのように万人が使うツールにはならないでしょう.それでも,様々な使われ方による問題が浮き彫りになり法整備が行われています.20年後,ドローンがどのような使われ方をしているのか分かりませんが,世界中の人々が安全に恩恵を受けられるツールに進化してほしいと願っています.
(編集理事 佐波孝彦)
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