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Vol.106 No.3 (2023/3) 目次へ

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 * 突然ですが,ふと旅に出たくなるときがあります.コロナ禍で外出を控える時期が長かったこともあり,同じように旅に出たい人も多いのではないかと思います.

 * 私自身はAIの研究をしているので,AIのことを考えたとき,AIが人間のように「旅に出たい」と思うのだろうか? と思ったりします.例えば強化学習のようなアルゴリズムを考えたとき,状態空間は基本的には所与で,そこから外に飛び出ることは想定されていません.

 * では,人間はなぜ旅に出たいと思うのでしょうか.ぱっと思いつく理由はリフレッシュでしょうか.リフレッシュという言葉は便利なもので,頭が疲れているのか,体が疲れているのか,いずれにせよ元気を取り戻すことを指すと思います.AIが大量の計算機を稼動させ,大量のパターンをあくせくと学習している傍ら,人間は短い人生の中でなお旅に出たいのです.それにもかかわらず,今日時点では,AIより人間の方が優れていることもまだ数多くあります.特に記号や論理を扱う部分についてはAIはまだこれからと言いますね.

 * 今回の小特集は,「電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響──倫理綱領改定に向けて──」です.社会情勢が大きく変動する中,エンジニア,研究者としても倫理的な対応はより一層重要になっていくでしょう.それに加えて,ゆとりも大事なんだろうと思います.人間の「旅に出たい」という気持ちには,単にリフレッシュだけでなく,外の世界から情報を収集し,自身を相対化し,バランスがとれた考え方に調整しようという働きもあるような気がします.倫理というと,社会の分断や対立の話を思い浮かべ,それをどう克服するかと堅苦しく考えがちですが,少し肩の力を抜いて物事を広く捉えることも必要なのかもしれません.そんなことを思いました.

 * やっぱり旅に出たい.

(編集特別幹事 黒川茂莉) 

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