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3Dキャプチャ技術の進化と展望
小特集 3.
自由視点映像を生成するボリュメトリックキャプチャ技術
Volumetric Capture Technology for Free Viewpoint Video
Abstract
スマートフォンの発展に伴い,誰でも身近に映像を楽しむことが可能になり,4K,8Kといった単に映像の細かさを競い合う時代は終えんを迎えた.更に,高品質なCGを描画できるリアルタイムエンジンの普及,空間認識機能の発展によるAR(拡張現実)技術の向上や軽量で高品質なVRゴーグルの登場に伴い,自分の好きな視点,“自由視点”で映像に触れる体験が非常に身近になってきた.ここでは,自由視点映像の技術的な説明と合わせて,実際の撮影方法や使用事例について細かく説明する.
キーワード:ボリュメトリックビデオ,自由視点映像,VR/AR,バーチャルプロダクション
近年のVR技術の発展により,様々な体験をVR空間内で行うことができるようになったが,リアルな人間をVR空間内に表現しようとすると非常に困難な問題に突き当たる.
それは,現実世界と同様に,いかなる角度から見ても成立している,自由視点映像としての表現が必要になるためで,通常はアバタと呼ばれる簡易なCGキャラクタで表現したり,2D映像による擬似的な表現が使われているが,いわゆるビデオ映像のようなリアルな人間の表現には遠く及ばない.
ボリュメトリックキャプチャ技術は,人間の動きを数十台のカメラ映像やセンサなどで捉え立体化することで,被写体の表情や髪や服の揺れ,指先の細かな動きまでを自由視点の3D映像として表現することが可能になる.
数十台から場合によっては数百台のディジタル一眼レフカメラ等を使って被写体を3D化する撮影手法は,「フォトグラメトリキャプチャ」と呼ばれ,以前から自由視点の静止オブジェクトを生成する技術として一般的であった.一方,ボリュメトリックキャプチャは,ビデオカメラによる秒間30コマから場合によっては60コマの動画像を撮影した上で,各フレームをフォトグラメトリキャプチャと同等の仕組みで3D化し時間方向に連続してつなげていくことで,立体のパラパラ漫画のようにアニメーションとして自由視点映像を生成することが可能になる.
一般的に,フォトグラメトリキャプチャで生成されるCGオブジェクトは,ズームに耐え得るような高精細CGモデルの基となるため,数百万ポリゴンレベルの高精細なモデルと,8Kから16Kほどの高解像度テクスチャとして生成され,CGデザイナーによる細かなレタッチが施されていく.
一方のボリュメトリックキャプチャで生成されるCGオブジェクトは,秒間30コマでの再生をスムーズに行う必要があるため,再生環境にも依存するが,ポリゴン数は多くても数十万ポリゴン程度,テクスチャ解像度も4K未満に抑える必要が出てくる.
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