特集 未来を創る情報通信エンジニアリング 特集編集にあたって

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Vol.108 No.5 (2025/5) 目次へ

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特集 未来を創る情報通信エンジニアリング

特集編集にあたって

編集チームリーダー 森川博之

 電子情報通信学会に新たに情報通信エンジニアリング部門が設立される.

 情報通信エンジニアリングとは,情報通信インフラを総合的に運営(設計,工事,運用,維持管理)するために中心的な役割を果たす技術のことである.

 情報通信エンジニアリングがカバーする領域は多岐にわたる.「光ファイバや基地局をどこに敷設・配置すればよいのか」「災害時の通信インフラ復旧を迅速に行うためにはどうすればよいのか」「通信品質を向上させるためにはどうすればよいのか」「CO2排出を低減するためにはどうすればよいのか」「通信障害を生じさせないようにするにはどうすればよいのか」「安全を確保しながら効率的に建設するためにはどうすればよいのか」「通信インフラを効率的に維持管理するためにはどうすればよいのか」「技術をどのように継承していけばよいのか」「急激な人口減少の中で働き手をどのように確保すればよいのか」など,考えなければいけないことが多々ある.

 情報通信インフラは,今や現代の人々の生活を支えるとともに将来の人々にも多大なる恩恵をもたらす社会基盤となった.そして,この社会基盤を支えて頂いている方々が日本全国津々浦々に多くおられる.

 しかしながら,生産年齢人口の急激な減少により,情報通信エンジニアリング分野の生産性を向上させることが喫緊の課題になっている.技術の出番である.スマート工場,スマートコンストラクション,スマート農業などといったDXには耳目が集まっているが,情報通信エンジニアリング分野こそ先陣を切っていかなければいけない.ここで得られた知見は他の業界にも展開できる.

 また,埼玉県八潮市で道路が陥没し,トラックが転落した事故も他人事ではない.通信インフラは管路,とう道,電柱などの線路敷設基盤によって支えられている.予防保全型メンテナンスやリスクベースマネジメントなども進めていかなければいけない.更には,電力などの民間事業者と公共インフラを管理する自治体などの関係する主体が連携し,インフラ保全の全体最適に向けた仕組みも必要である.

 まさに「工学」である.電子情報通信学会として,情報通信エンジニアリング分野の健全なる発達を図る機能を具備し,社会の発展に寄与していかなければいけない.国民経済に不可欠な情報通信インフラに関する正確な情報を学会から社会に発信することも重要である.

 本特集は,情報通信エンジニアリング分野の取組みを紹介することを目的に,情報通信エンジニアリング準備委員会に執筆をお願いして出来上がった.準備委員会には,NTT,KDDI,ソフトバンク,楽天モバイルの通信事業者4社に集まって頂いている.社会・経済活動を支える通信基盤の構築に日頃強い想いで取り組んでおられる方々である.

 情報通信エンジニアリングがカバーする領域はとても幅広い.実際に工事に携わっておられる方々も日本全国にたくさんおられる.今回の特集ではそのうちのごく一部の紹介にとどまっているが,奥深さを感じ取って頂くきっかけとなり得れば,この上ない幸せである.執筆を御快諾頂いた皆様に,この場を借りてお礼申し上げたい.

特集編集チーム

 森川 博之   岡  宗一   須山百合子   新井 佑吾   市村  豪   磯邉 直志   織田 洋平   川西 圭景   小出 和秀   澤口 雄太   滑川 哲也   和田 耕一   橋本 俊和   西村 康孝   安達 宏一 


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