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未来を創る情報通信エンジニアリング
3.
サスティナビリティに対応するエンジニアリング業界の取組み
Engineering Industry Efforts to Respond to and Combat Climate Change
本稿では,災害対策,環境配慮,強じんネットワークの3点を軸に,これら情報通信エンジニアリングの取組みについて現状と課題,将来的な方向性について詳述する.災害対策について電気通信事業者の具体的な取組み,事業者間の協調連携の実態,今後の連携強化の方向性を解説する.環境配慮についてカーボンニュートラルへの取組み,政策提言への取組みについても紹介する.最後に強じんネットワーク構築に関連して有事の際のインフラの維持,事故対応能力の高度化についても考察する.
キーワード:災害対策,環境配慮,カーボンニュートラル,強じん化
情報通信技術の飛躍的な進展に伴い,近年の通信ネットワークは社会インフラとして極めて重要な存在となっている.通信インフラの安定性と堅ろう性は,安心・安全な社会の実現に不可欠であり,その重要性はますます増大している.本稿では,災害対策,環境配慮,そしてネットワークの強じん化に向けた各種取組み,課題及び官民一体となった連携の重要性について論述する.
近年,激甚化・多様化する自然災害が頻発している(1).これに対処するためには過去の経験から学び,現在までの成長・進化の過程を経て未来のあるべき姿を考察することが重要である.特に,南海トラフ地震や首都直下地震などの広域大規模災害を想定した「備え」を模索する必要がある.
発災時において,通信インフラは重要なライフラインの一つであり,安定した通信サービスの提供は社会の持続的な発展(サスティナビリティ)(用語)に寄与する.通信事業者は災害時においても堅ろうな通信ネットワークを構築し,速やかな復旧体制を確立することを使命としている.本章では,過去の災害から学んだ教訓を基に,現在の取組みを紹介し,今後の災害復旧の方向性について考察する.
通信事業者の災害対策の歴史において,2011年の東日本大震災は重要な転換点となった.東日本大震災以前にも,通信事業者は自然災害に対する一定の備えを行っていたが,この震災を契機に,災害対策の見直しと強化が進められた.当社の場合,災害対策関連規定を全面的に見直し,大規模災害に強い体制を構築するとともに,可搬形基地局を全国配備し有事に早期復旧できる機材を準備した.
東日本大震災,熊本や能登での巨大地震,豪雨災害をはじめ,多くの災害を経験し,通信事業者における現地復旧作業では以下の四つの要素が不可欠であることが明確になった.
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