EiC 2025年総合大会企画セッション「国際競争力向上の戦略」開催報告

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Vol.108 No.6 (2025/6) 目次へ

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2025年総合大会企画セッション「国際競争力向上の戦略」 開催報告

Report on Conference Committee Planning Session “Strategies for Enhancing International Competitiveness” for the 2025 IEICE General Conference

企画戦略室長 今井尚樹

1.は じ め に

 企画戦略室では,2025年総合大会の大会委員会企画として,日本学術会議電気電子工学委員会通信・電子システム分科会とともに2025年3月25日に「国際競争力向上の戦略」セッションを主催した.本セッションは東京都市大学世田谷キャンパスで開催され,多数の参加者を集めて6件の講演とパネル討論が行われた.開会の挨拶では,電子情報通信学会の植松友彦次期会長(東京科学大学)並びに日本学術会議通信・電子システム分科会委員長の三瓶政一氏(大阪大学)から本セッションの開催趣旨と期待が説明され,閉会の挨拶では今井尚樹企画戦略室長(KDDI)から本セッションの講演者及び聴講者に対する感謝の意が述べられた.

 以下では,本企画セッションの開催趣旨を示し,各講演の概要とパネル討論を紹介して,本セッションの開催概要としてまとめる.

2.開 催 趣 旨

 通信・電子システムの重要性は,産業としてだけではなく,国際安全保障上も大きくなってきた.先端技術としては,AI,量子といった技術,更に衛星や深海といった,今までにない領域への拡大も急速に進んでいる.また,先端技術のみではなく,ライフラインとしての重要性も極めて高い.その中で,日本の国際競争力は失われた30年とも言われ,OECD最下位に甘んじているのが現状である.本会では企画戦略室,国際委員会を中心として,学会としてのグローバル化を強化し,新しい形の国際化を目指している.一方,日本学術会議電気電子工学委員会通信・電子システム分科会は,2023年に見解を出し,この分野の競争力向上の戦略を深く議論している.この問題を打開するのは簡単な施策では難しく,国の施策にリンクさせて,企業の競争力,アカデミアのレベルアップ,人材育成といった,産官学の連携による一体となった努力が必要である.そこで,国の政策立案のキーパーソン,産業界のキーパーソン,学会の責任者,学術会議のリーダー,アカデミックのオピニオンリーダーによる戦略立案を目指してシンポジウムを開催した.

3.開 催 報 告

 以下では,シンポジウムにおける6件の講演とパネル討論について概要を紹介する.

3.1 講演

ICT分野の国際競争力強化に向けた戦略について

竹村晃一(総務省)

 本講演では,電気通信技術に関する国による施策が紹介された.グローバル視点での現状分析から,6.7兆円のディジタル赤字があり大きな問題となっている.AI時代に向けて,実用化・ビジネス化をつなぐ社会実装に力を入れるとともに,図1に示す3領域を重点化することが示された.1点目はAI基盤ともなる計算機とネットワークの融合,2点目は日本が優位な技術を有する全光ネットワーク,3点目は従来の地上ネットワークにとどまらない宇宙,衛星,そして海底といった非地上系NTNである.特に図2に示す光ネットワークに関しては日本の競争力強化を維持する施策を含め,デバイス,ネットワーク,サービスを連携させ,産学分野をつなぐ手厚い投資について述べられた.


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