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Vol.109 No.1 (2026/1) 目次へ

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① QRコードを支える技術

The Technology Supporting QRcode

原 昌宏

原 昌宏 (株)デンソーウェーブエッジプロダクト事業部

Masahiro HARA, Nonmember(Edge Product Division, DENSO WAVE INCORPORATED, Chita-gun, 470-2297 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.1 pp.4–9 2026年1月

© 2026 電子情報通信学会

1. は じ め に

街の中でよく目にする白黒のモザイク模様で四角形のQRコード.スマートフォンでQRコードをかざすだけでインターネットのWebサイトにアクセスしたり,商品を購入したり,遊園地などのチケットとしても使われています.最近では教科書や電車の扉の窓にもQRコードが付いているなどいろいろな場所でQRコードは使われています.今では私たちの生活に欠かせない存在となり,皆さんもQRコードを使っていると思います.世界中でも使われているQRコードを皆さんはどれだけ知っていますか? 今回は,QRコードを開発したいきさつ,QRコードの仕組みや特長,今後の展望などQRコードの魅力について紹介します.

2. QRコードの生い立ち

QRコードは1994年に日本の自動車部品を製造する会社が開発しました.QRコードが開発されるまでは,コンピュータに情報を入力する手段としてバーコードが広く利用されていました.バーコードは約20文字程度の情報を収めることができるので,コンピュータにある情報を参照するID番号(個人や特定のものを識別するために割り当てられる番号)の利用に適していました.しかし,使用する情報が年々増加してゆき,特に自動車産業では部品点数が増加し,部品を管理するにはバーコードでは情報量が足りなくなりました.バーコードの場合,入力する情報が増加すると横方向にバーコードは長くなりますが,読取り装置で読取りができなくなります.そこで,情報を分割して複数のバーコードを印字し読ませていました.約10個のバーコードを印刷し,バーコードを1個ずつ読ませていたので読取り時間が非常にかかり,作業者が疲れていました.また,文房具品や電子部品などの小さな物には印刷することができませんでした.更にバーコードはアメリカで開発されたので数字,英字,記号の情報しか表現ができませんでした.当然,日本では日本語の仮名・漢字が表現できるコードの要求が高まっていました.バーコードの一番の問題は,バーコードが汚れたり破損したりすると読取りができなくなることでした.

このようにいろいろな問題があることから,これからの情報化時代(インターネットの普及により人々の生活でいろいろな情報を活用する時代)ではもっと多くの情報を使うようになり,バーコードは使えなくなります.そこで,多くの情報を小さなスペースで印刷でき,早く確実に読み取れる未来のコードとしてQRコードを開発しました.

QRコードとバーコードの比較について図1表1に示します.

3. QRコードの構造

QRコードは囲碁のようにマス目に黒と白を配置して情報を表します.白と黒の2色で表現するのは,コンピュータが2進数(0と1のみで表される数)で情報を表現・処理するのと同じで,白は0,黒は1に対応しています.0と1で情報を処理することで効率的に扱うことができます.

一方,バーコードは棒線を平行に並べて,棒線の幅と間隔で情報を現わします.バーコードは図1のように棒線の幅(横)方向しか情報を持たないのに対して,QRコードは縦横の2方向に情報を持つことができるので多くの情報を小さなスペースで印字することができ,仮名・漢字も表現することができます.また,多くの情報を表現できるので,QRコードは汚れたり破損したりした部分の情報を正確に訂正する誤り訂正機能があります.

マス目に黒と白を配置する方式のQRコードはバーコードに比べて構造が複雑なので読取りが難しく,読取り時間もかかります.そこで読取りをしやすくして早く確実に読み取れるように,読取りを助ける機能パターンをコード内に配置しています.QRコードは図2に示すように,文字を表現する情報と汚れたり破損したりした部分を復元するのに必要な情報のデータ領域と読取りを助けるファインダパターン,アライメントパターン,タイミングパターンの機能パターンから構成されています.

3.1ファインダパターン

QRコードの読取りスピードを速くするためのパターンです.このファインダパターンをコードの左上,右上,左下の三つの角に配置することで,QRコードが360度あらゆる角度で回転していても高速に読み取ることができます.

3.2 アライメントパターン

QRコードをスマートフォンで読み取るときに,スマートフォンを斜めにかざすと図3のようにQRコードの形状が台形にゆがみます.アライメントパターンを配置することで台形にゆがんだQRコードのゆがみを補正して,正確に読み取ることができます.QRコードは情報を多く入れるほどコードのマス目の数が多くなります.マス目の数が多くなると台形にゆがんだQRコードの読取りは難しくなりますので,マス目の数が多くなるほどアライメントパターンの数も増えていきます.

3.3 タイミングパターン

図3のような円柱などの曲面に印刷されたQRコードは中央部のマス目の間隔が広く,端に行くほどマス目の間隔が狭くなります.タイミングパターンを配置することで一定でないマス目の幅を補正して,正確に読み取ることができます.このタイミングパターンはファインダパターン間の2箇所に黒と白のマス目を交互に配置したパターンです.

3.4 データ領域

QRコードに入れたい情報は図2の黄色部分のデータ領域に配置されます.データは,決められた規則に基づいてマス目に白,黒を配置します.また,汚れたり,破損したりした部分の誤りを訂正する機能に必要な情報は水色部分のデータ領域に配置されます.

4. QRコードの特長

バーコードとの性能比較でも紹介しましたように,QRコードは多くの情報を小さなスペースに印刷できる特長があります.QRコードは表現する情報量に応じてコード面積が大きくなります.最小のQRコードは1辺のマス目が21個で情報が増えるごとに25個,29個と4個ずつ増えていき,最大で177個まであります.最大のQRコードは数字で7,089桁,英数で4,196文字,仮名漢字で1,817文字まで表現できます.バーコードと比較すると情報量は英数字で約200倍,数字で約300倍,印刷面積は約1/40にすることができます.また,読取り性能についても以下の特徴があります.

一つはQRコードがあらゆる角度に回転していても,0.03秒と高速に読み取ることができます.この特徴から,素早く反応するという意味の英語Quick Responseの頭文字を取ってQRコードと名前を付けました.二つ目はQRコードが汚れや破損で白いマス目が黒くなったり,黒いマス目が白くなったりした場合でも誤った部分を訂正して正しく読むことができる誤り訂正機能があります.この機能によりコードの面積の30%が汚れたり破損したりしても正確に読み取ることができます.誤り訂正機能がなければQRコードの1個の白のマス目が汚れて黒くなっただけで読取りができなくなったり,誤った情報として読み取られたりします.この二つの特徴をどのように実現しているか紹介します.

4.1 ファインダパターンによる高速読取り

QRコードは,バーコードより構造が複雑なので読取りが難しく,読取り時間がかかります.QRコードの読取りはスマートフォンなどのカメラで写した画像を解析して読み取ります.最初に画像の中からQRコードの位置・大きさ・傾き等を調べてQRコードだけを取り出します.次に取り出したQRコードから各マス目の位置を求めて,マス目が黒か白かを判別して決められた規則に従って文字に変換していきます.QRコードは新聞や雑誌などの印刷物に印刷されているので,画像の中にはQRコードのほかに文字や図形などいろいろな物が写り,その中から文字や図形と区別してQRコードを見つけ出すのに一番時間がかかります.そこで,いろいろな物が写った画像の中から,早くQRコードを見つけ出すために図4のファインダパターンがあります.

ファインダパターンは,印刷物の中から見つけやすいように文字や図形にあまり存在しない黒と白の幅の比率(黒1 : 白1 : 黒3 : 白1 : 黒1の比率)が得られる図4のような構造となっています.ファインダパターンが360度あらゆる角度で回転していても中心を通る直線方向の黒と白の幅の比率は黒1 : 白1 : 黒3 : 白1 : 黒1になるように工夫されたパターンです.画像の中からこの黒1 : 白1 : 黒3 : 白1 : 黒1の比率を捜し,その比率がある所にQRコードがあることが分かり,文字や図形と区別できます.また,ファインダパターンが3角にあることからQRコードの位置,コードの大きさ(辺の長さ),回転角度が分かります.これにより,ファインダパターンのない頂点も計算で求められます.これによりQRコードの外形が特定でき,画像の中からQRコードだけを早く取り出せます.ファインダパターンを4角に配置すると計算せずに簡単にQRコードの外形を特定できますが,90度,180度と回転すると上下が分からなくなります.そこで,QRコードの一つの角にファインダパターンを配置しないことで上下が分かるようにしています.これにより,1秒間に30回,およそ0.03秒の高速読取りができるようになりました.

4.2 汚れ・破損を復元できる誤り訂正機能

表現する情報だけなら,その情報が汚れた場合は元の情報に直すことができません.誤り訂正機能は元の情報に誤りを訂正できる情報を付け加えて,その情報を頼りにして元の情報に誤りがあるか判断し,誤りがある場合は訂正できる機能です.この誤りを訂正できる情報は元データから数学的計算で求められます.誤り訂正機能の誤りを訂正できる情報の計算方式は何種類もあります.元の情報に誤りを訂正できる情報を付け加えた情報を符号と言います.QRコードはリードソロモン符号を採用しています.このリードソロモン符号は誤りを効率良く訂正でき,衛星通信やCD-ROMなどにも使われています.リードソロモン符号は大学の数学レベルが必要で皆さんが理解するには非常に難しいです.そこで,簡単な虫食い算でできる誤り訂正機能の例を紹介します.

ノートに2■41と4個の数字が書かれていて,その1個が黒く塗りつぶされていては何の数字が書かれているか分かりませんよね.そこで,図5のように4個の数字(2,3,4,1)とそれぞれの数字を足し算した合計の数字を書きます.そうすると1個の数字が黒く塗りつぶされていても,その数字は4個の数字の合計から分かっている数字を引き算して求めることができます.■ = 10−2−4−1 = 3となります.

それでは2個の数字が黒く塗りつぶされたらどうでしょうか? ■+● = 10−2−4 = 4となり4個の数字と合計の関係が成り立つ条件は複数あります.よって■と●に書かれていた数字は特定できません.そこで,図5の下図のように,2個の汚れを復元のように4個の数字の合計に更に1個の数字を追加して書きます.この追加した数字は,数字と右から数えて何番目の数字かを掛け算し,その合計です.左端から順番に2は右から数えて5番目なので2×5,3は4番目なので3×4,4は3番目なので4×3,1は2番目なので1×2,10は1番目なので10×1.そしてそれぞれの掛け算の合計で2×5+3×4+4×3+1×2+10×1 = 10+12+12+2+10 = 46となります.この数字46を追加すると2個の黒く塗りつぶされた■と●も計算で求めることができます.数字46を計算した式を黒く塗りつぶされた■と●で置き換えると2×5+■×4+4×3+●×2+10×1 = 46となり,整理すると■×4+●×2 = 46−10−12−10 = 14となります.4個の数字の合計から求めた■+● = 4と■×4+●×2 = 14の二つの式から■と●を特定できます.二つの式の■と●に直接数字を入れて求めることができます.3(■)+1(●) = 4,3(■)×4+1(●)×2 = 14となり,■は3,●は1となります.また,つるかめ算でも■と●を求めることができます.

このように,追加した情報の数だけ不明な数を復元できます.

それでは,ノートに書かれた4個の数字の1個が消しゴムで消されて書き換えられたら元の数字に訂正できるでしょうか? 2個の数字が黒く塗りつぶされたときに説明したように4個の数字の合計Aと4個の数字と右から数えて何番目の数字かを掛け算し,その合計Bを追加すると元の数字に訂正することができます.

図6のように4個の数字の1個が書き換えられた4,3,2,5と追加した情報13(A),58(B)から次のことが分かります.4個の数字の合計は4+3+2+5 = 14となり,元の4個数字の合計13よりも一つ大きくなっています.これにより4個の数字の1個が元の数字より一つ上の数字に書き換えられたことが分かります.そして,4個の数字のそれぞれに一つ小さい数字に置き換えた数字と右から数えて何番目の数字かを掛け算し,その合計Bを計算して58と一致すれば元の数字となります.最初の4が書き換えられたとすれば元の数字は4−1 = 3となり,Bを計算するとB = (4−1)×5+3×4+2×3+5×2+13 = 56となり,58と一致しないので数字4は書き換えられていないと分かります.同様にして,3が書き換えられているとすればB = 4×5+(3−1)×4+2×3+5×2+13 = 57,2が書き換えられているとすればB = 4×5(3×4+(2−1)×3+5×2+13 = 58,5が書き換えられているとすればB = 4×5(3×4+2×3+(5−1)×2+13 = 59となり,2が書き換えられた場合にBの58が一致したので数字2が1に書き換えられていることが分かります.このように,間違った情報の位置が分からない場合は追加した情報の半分の情報を訂正することができます.

アルファベットなどの文字を誤り訂正したい場合はどうすればよいでしょうか? その場合は使おうとする文字全部にあらかじめ番号を割り付けておき,使用する文字に対応する数字に置き換えればよいです.例えばAは10,Bは11,Zは35と数字に置き換えて計算して誤りを訂正できる情報を付け加えていきます.

誤り訂正機能により図7のように汚れたり破損したりしたQRコードや,QRコードを表示したスマートフォンの画面が割れていても読み取ることができます.

5 QRコードの普及

5.1 QRコードの広がり

QRコードは1994年に開発され,最初は工場での製品の生産管理や部品管理,倉庫での荷物の入出庫管理や保管期限の管理などに使われ,主に工場や倉庫で使われたこともあり,一般の人は余り見ることはありませんでした.1990年代後半になるとバーコードが大きくて使えないコンタクトレンズや文房具品などの小物の販売管理に使われるようになりました.2000年代に入ると,日本では携帯電話での活用が始まり,人と情報をつなぐコミュニケーションツールとして幅広く使われるようになりました.携帯電話は1998年にインターネット接続ができるようになり,1999年にカメラが搭載され,2000年にカラー液晶が搭載されました.携帯電話にカメラが搭載されたことで,2002年にQRコードを読取り機能が付きました.その結果,インターネットのWebサイトのアドレスをQRコードにして,QRコードを読ませるだけで簡単にWebサイトに接続できようになりました.また,電話番号やメールアドレスの交換にもQRコードが使われるようになりました.更にQRコードをメールで携帯電話に送信し,液晶画面に表示することで電子チケットやクーポンにも使用され,2007年にQRコードで飛行機に乗れるようになりました.2010年に入るとスマートフォン(iPhone)が世界中に普及するとQR決済などにも使われ,世界中でQRコードが普及しました.このように,市民生活の利便性や快適性にQRコードが使われるようになり,これまでの産業用途での使用だけでなく一般市民まで幅広く使われるようになりました.

最近では電車の切符や駅のホームドアの制御,新型コロナウイルスの感染拡大時には感染者の追跡システム,コロナワクチン証明書など環境面や安心,安全面でも活用され,社会に欠かせない存在となっています.

今後は,IoT(様々なものがインターネットにつながる技術)と連携させると,スマートフォンでQRコードを読み取ることで家電製品を遠隔操作できるようになります.また,VR(コンピュータが使って作り出した仮想空間を,まるで現実のように体験できる技術)と連携させると,QRコードは単なる情報提供ツールにとどまらず,いろいろな体験ができるようになります.例えば,地図にあるQRコードを読ませると自宅で観光地に行った擬似体験ができるようになります.

5.2 QRコードの普及の要因

QRコードがここまで普及した要因としましては主に次の3点があると思います.一つ目は,誰もが簡単にほとんど無料でQRコードが作成でき,多くの人がスマートフォンによる読取り装置を持っているからです.

二つ目は,QRコードの読取り性能に優れているからです.高速に読み取れ,汚れたりゆがんだりしたコードでも正確に読めるほかにも図8のようなインクがにじんだり,かすれたり,色の濃淡がある印字品質の悪いコードや手書きで書いたQRコードでも確実に読み取ることができます.このように読取りに優れたコードなので,いろいろな用途で使用できます.

三つ目は,誰もが自由に安心して使える環境を作ったからです.QRコードは特許(発明者に独占的に利用できる権利を一定期間与える)を取得し,利用者には権利をオープンにして誰でも自由に無償で使えるようにしましたが,偽物のQRコードに対しては特許権利を行使して市場から排除することで安心して使えるようにしました.これらにより,多くの人がQRコードを使える環境にあり,確実に読み取れる性能があり,そして安心して使える環境があるから世界中の人がQRコードの活用方法を考え世界中で爆発的に普及しました.

6 進化したQRコードと今後

6.1 進化したQRコード

QRコードは今年で誕生して32年になりますが,いまだに世界中でいろいろな用途に使われ続けています.これまでに,時代とともに変化する社会の要求に対応するために,QRコードに新しい機能の追加や改良が行われてきました.ここでは図9で示した進化したQRコードについて紹介します.

QRコードよりも小さなスペースに印字できるマイクロQRコードが1998年に開発されました.マイクロQRコードはファインダパターンを1個にして,数字20桁の情報を2mm角の正方形のスペースに印字できます.非常に小さい電子部品などの管理に使用されています.

QRコードに暗号機能(ほかの人に情報が分からないように情報を変換する機能)を搭載して特定の人だけが情報を読み取ることができるSQRCが2007年に開発されました.SQRCはスマートフォンでは読めなく特別な読取り装置しか読取りができないことから,会社の秘密情報や個人情報を扱う用途で使用されています.このSQRCは暗号機能があることを知られないように,見た目はQRコードと全く同じになっています.

QRコードと印刷技術を組み合わせてコピー機で複製できない複製防止QRコードが2011年に開発されました.複製防止QRコードは,QRコードの一部分を特殊なインクで塗りつぶしてコピー機で複製できないようにしています.コピー機で複製されては困る入場券やモノレールの切符などに使用されています.

QRコードにロゴやイラストが入れられるデザイン性に優れたフレームQRコードが2014年に開発されました.フレームQRコードはコードの中央部にロゴやイラストを入れる専用の領域があります.ロゴやイラストからこのフレームQRコードがどのような情報を扱ったWebサイトに飛ぶかイメージさせることに役立っています.

QRコードの形状を長方形にしたrMQRコードが2022年に開発しました.rMQRコードは高さ2mmの狭いスペースに100文字の情報が入れられ,これまでQRコードが使えなかった細長い円柱の部品や試験官の管理に使用されています.

6.2 QRコードの今後

QRコードは多くの情報を入れることができますが,文字しか入れることができず画像を入れることはできません.しかし,スマートフォンでQRコードを読み取るとスマートフォンの画面に文字や画像が表示されます.これは,QRコードに入っているWebページのアドレスからインターネット上にある文字や画像の情報をスマートフォンにコピーして表示をしているからです.大きな地震などの災害でインターネットが使用できなくなると,QRコードを読み取るだけでは画像が扱えなくなります.そうなると,人々の生活にいろいろと支障が出てきます.そこで,QRコードに入れられる情報を大幅に増加して画像情報を入れられるようにしたいと思います.QRコードに入れられる情報を増やす方法として次の二つがあります.一つはQRコードのマス目を白と黒だけでなく,図10のようにマス目をいろいろな色で塗りつぶしてカラー化します.もう一つはQRコードの面積を大きくして情報の入るマス目を増やすことです.現在のQRコードは1辺のマス目は最大で177個ですが,今後は約1,000個まで増やして多くの情報を入れられるようにします.どこまでマス目を増やせるかですが,QRコードを読み取るカメラの性能によって決まります.最近のスマートフォンは1,200万画素のカメラが搭載されていますので,1辺が1,000個ぐらいあるQRコードを読み取ることができます.QRコードが文字,画像を扱えるようにするにはこの二つの方法が必要となります.ただ,印刷されて色を正確に識別する技術はまだ難しく実現には少し時間がかかりそうです.

QRコードは,私たちの生活を大きく変えた技術です.QRコードがあったからスマートフォン一つで様々な情報にアクセスできるようになりました.今後もQRコードは進化して様々な分野で活用され,私たちの生活を更に便利で快適にしてくれるでしょう.

(2025年7月31日受付2025年8月29日最終受付)

はら まさひろ

昭55法政大・工・電気電子卒.同年日本電装株式会社入社しバーコード,OCR,QRコードのなどの自動認識技術の開発に従事.現在,デンソーウェーブエッジプロダクト事業部主席技師.平26欧州発明家賞,平31市村産業賞本賞,令5日本学士院・恩賜賞各受賞.


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